マルチchスピーカーを選定するにあたり、フロントLRの音を基準にする方針でいま進めているのだが、これは必要条件であり、質に関しての条件はすでに述べたが、もうひとつ、重要な必要条件がある。
量に関するものだ.
部屋で聞く音量の、特に最大音量時に、サラウンドSPもフロントLRの音量に負けずに追従する必要がある。
どの程度の音量を最大とするかは人それぞれだし、部屋や装置の性能にもかなり依存する。
ただ、日本音響家協会では、最大音量は、110dBで10分以下、を提唱している。
110dBというと、音楽ライブの最大音量に相当するもので、ライブ時は曲間に休みがあるし、ピークが継続する曲なんて存在しないので、連続ピークが持続する時間は、せいぜい1分だ。
ちなみに、映画館は、最大音量は案外小さく、最大95dB程度だし、恐怖とか驚き、あっても爆撃などの衝撃音であって、数秒の時間である。
110dBの音を家で再生することを仮の目標としておこう。
まず近所迷惑を優先に考える。
その場合、我が家では遮音性能はDr-55で設計したので、55dBは部屋で吸収される。残り55dBは外に漏れるのだが、これは通常の事務所にいるときの静かさであり、近所に迷惑はかからない。
110dBの音量を出しても、部屋の性能としては対応できるはずだ。
ところで、そもそも、スピーカーは110dBの音圧を出せるだろうか。
我家の場合メインスピーカーは、効率94dB(4Ω)で、最大500wまで入る。
計算上、8Ω換算で250wの出力である。その時、音圧を計算で出すと、SPは118dBの音圧が軸上1mで出力されるが、これがスピーカが出せる最大音量だ。
スペックをみると、最大SPL 118dBと書いているので、正確に計算と一致する。
118dB出すとき500wなので、110dBであれば、それに対し-8dBなので、アンプ出力は80w(4Ω)でよい。
ちなみに、音圧とスピーカーアンプの関係はこうだ。
SPL= SPの効率 + 10log( P/D^2)
SPの効率 (dB/wm)
P:w
D:SPとLPの距離(m)
フロントchは110dBは問題なく出せることはわかった。
ほかのchはどうなるか。
Auro-3Dにおける、各サラウンドchは、複数の手持ちソースで計測すると、ピーク時はこんな出力になる。
Fr 0dBを基準とすると、
C +7dB
Sr -10dB
Sb -5dB
Fh -10dB
Rh -2dB
なんと、センターchはフロントchより最大7dBも大きい音が入っている。
導入したばかりのセンターSPのスペックは、効率 88dB/w(8Ω)、最大入力100wであるので、
最大108dBまで音圧が出る。
センターchを使う限り、これが我が家で出せる最大音量となる。
C ch=108dB(peak)のとき、
他のチャネルは、こうなる(peak)。L/Rch 101dB
Sr 98dB
Sb 103dB
Fh 98dB
Rh 106dB
センター,LRを除いて、最も大型のスピーカーを置く必要があるのは、Rhだった。
後方のchだが、フロントに対し、わずか-2dBしか違わない音量で再生できないといけない。
Sbもフロントと-5dBしか違わないほどの音圧を出力せねばならぬ。
106dBを再生できるSPは、なかなか、ないように思うが、