少し前になりますが、


5月4日の深夜に父が他界しました。


亡くなった正確な時間はわかりません。


23時47分に、弟から



「今、親父は死んだわ」



と、メールが届きました。


やはり、亡くなってからでないと


知らせてはもらえませんでした。



最後に父の顔を見に行った時、


なんとなく、もう最後かもと予感はしていて、


父が亡くなったと知らせが来ても


驚きはしませんでした。



これは、気持ちの問題なのかもしれませんが、


いろんな偶然が重なって、


私の気持ちの中ではどれもがつながっていて、


来るべくして来た「その時」なのかなと


思っています。



3日に会いに行く前に、


なぜか心の中で、亡くなった祖父母に


私は声をかけました。



「もう、これ以上苦しませないであげてね。


その時が来たら、2人で迎えに行ってあげて。」



その後、父の顔を見に行った時、


今までで一番はっきりと、しっかりと


父は私の方を見ていました。


そして、何度も酸素チューブを触ったり、


胸が苦しいとジェスチャーしていました。


何度も呼吸が止まっては戻り、


最後には「あー」と、声をあげていました。



父の病室を後にして、


私は相方さんの家に行きました。


翌日、4日の夕食の時、19時過ぎに


非通知で私の電話が鳴りました。


電話はすぐに切れたし、


誰からだったのか分かりません。


でも、なんとなく気にはなりました。


その夜、父は亡くなりました。



亡くなった後で弟からメールが届いたので、


弟が父の死に目に会えたのか、


弟がいつ、病院から知らせを受けたのか、


何もわかりません。


聞いても返事はありませんでした。



最後に会った時、なんとなく感じた別れ。


だけど、唯一の心残りは、


やっぱりもう少し、


一緒にいてあげればよかったってこと。


あの時、もう一本後のバスにしておけばよかった。


それで何かが変わるわけじゃないけど、


もう少し、そばにいてあげればよかったと


何度も何度も思いました。


そして、それと同時に…


父は、本当に、私に来て欲しかったんだろうか?


と、何度も何度も答えのない疑問が


頭をよぎります。



父とは折り合いが悪く、


逃げるように実家を出て、


憎んだり、恨んだりした時期もありました。


でも、本当に不思議と、


恨みや憎しみはきれいに消えていました。


ただ、父の気持ちがわからなくて、


もう、知ることはできないのだけど、


考えても仕方がないのだけど、


父は私に会いに来て欲しいと


思っていたのだろうかと、


本当は来てほしくなかったんじゃないかと、


何度も何度もそう思えて、


涙が止まらなくなります。




父は典型的な田舎の長男で、


弟のことをすごく頼りにしていました。


弟は家を出て、結婚して、家を建て、


実家に帰ることはないとはっきりわかっていたのに


父は何度も私に、



「弟はいつか、帰ってくる」



と言って、弟が家を守っていくと、


自分の面倒を見てくれると言っていました。


その反面、私には辛く当たることもあり、


叔母といい、弟といい、父といい、


どうして私は家族からそんなふうに


扱われるんだろうと、


何度も何度も自分の至らないところを探しました。


でももう、父に本当の気持ちを聞くことは


できなくなりました。


それで、よかったのかも…。



先日は、弟から



「相続のことは、こっちで全部やりくりするぞ」



と、有無を言わせぬメールが届きました。


あと、この相続の手続きさえ終わってしまえば


もう、縁は切れる…


少なくとも、叔母とはもう縁が切れる。



残る問題は、母のこと。


弟と母はもう何年も絶縁状態で、


もしも、母に何かあったら、


私から弟に連絡をしなければいけないのか…


私から連絡が来るまで


父のことを教えてくれなかった弟。


自分は、母親のことは知らせてほしいと


思っているのだろうか…。


弟とももう関わりたくはない。


でも、どうすればいいのだろう。



私は随分長い間、


『父が死ねばせいせいするだろう』


と思っていました。


母に対してもそう思っていました。


父以上に、母への恨み辛みは大きかったのに、


今は母への恨みが消えてしまいました。


父が亡くなったときいて、


こんなにも寂しく、心に穴が開くなんて。


まさか私が喪失感を感じるなんて、


思いもしませんでした。


まだ、心の整理がつかない感じがしますが、


父に会って、思いやりのある言葉がかけられて


本当によかったと思っています。


父の入院を知ってから、


わずか2週間で父はこの世を去りました。


もう少し早く知りたかった。


残された時間がすごく短くて、


寂しい気持ちでいっぱいです。