☆桜守り☆

古来、桜を育てる人は「桜守り」と呼ばれてきた。
「子守り」するように、桜を見守り、励まし、世話をし、
一緒に四季を重ねていく人のことである。
「守り」をする人は、木をいじりすぎない。
基本は、放っておく。しかし、目は離さない。
細かく見ながら、大きくまかせていく。
木は「生きもの」である。機械ではない。
同じ桜でも、一本一本それぞれ違いがある。
育ってきた環境も違う。
だから「こうしたら、うまく育つ」という教科書はない。
その木の性格や癖をよく知って、それにこちらが合わせて、
温かく「守り」をするしかない。
子どもも、みんな違う。それぞれに、その子だけの、その子らしい「花」がある。
木を育てるのも、人を育てるのも、「育てる」ためには「育ってくる」のを信じて
待つ忍耐が必要なのだろう。
今、どんなに成績が悪くても、そんなに手に負えない規格外れの子でも、
将来、どんな面白いこと、素晴らしいことをする人間になるかわからない。
そう信じる愛情の深さの分だけ、子どもたちは伸び伸びと、「生き抜く力」という
根っこを張り広げていけるのではないだろうか。

池田大作著「希望の世紀へ」より抜粋