地球の自然現象である、汐の満ち引きのことが前回ちょこっと出たので、ゴールデンウィークの後半、帰省した際に、出水市(鹿児島県)の福ノ江海岸にマテガイ掘りに行ったときのことを書きます。
実家に帰ると、釣り好きのクチブエのおじちゃん(おばあちゃんの妹の旦那さん)が、よく色んなところに連れて行ってくれます。
今回は、出水市の福ノ江海岸にマテガイ(マテ貝)掘りに連れて行ってもらうことになりました。
おじちゃん夫婦とばあちゃんは、直前の大潮の日に1度行っていて、とても楽しかったそうなのです。
干潟には1cmほどの穴があり、その穴の回りに塩を振ると、マテガイが汐が満ちてきたと勘違いして飛び出てくるので、それを捕獲するのだそうです。
マテ貝(馬蛤貝 馬刀貝)
殻の形からカミソリガイの名もある二枚貝で、筒状の殻は長さ12㌢ほどになる。
殻の外面は青黄色、内面は白色。
本州、四国、九州、朝鮮南部に分布し、内湾の波の静かな泥深い、干潟に生息する。
潮が引くと泥の中に30㌢くらい垂直にもぐってすむ。
肉は柔らかくて美味。
4~5月に産卵する。(平凡社 世界大百科事典より)
わくわくしながら、クチブエのおじちゃんの車とおばあちゃんの車で出発。
1時間半弱で出水市の福ノ江海岸に到着しました。

しかし、クチブエのおじちゃんが困ったような様子です。
どうやら、前回の大潮の時に比べて全然汐が引いおらず、近所の方に聞いた話では、当日は小潮で、大潮ほどの汐の引きはないとのこと。
とりあえず海岸に降りて、浜で遊びながら、汐が引くのを待つことにしました。
むーきんぐを誘って、波打ち際で遊ぼうとしましたが、久しぶりの海の様子にびびったのか、むーきんぐは波打ち際から離れたところに座り込んで砂遊びを始めました。

私は一人で波打ち際の様子を観察することに。

フナムシがいたので、捕まえてむーきんぐに見せに行きましたが、
むーきんぐは一瞥しただけで、再び砂遊びを始めました。

むーきんぐは砂と貝殻でケーキを作り始めていました。
むーきんぐに見せたい物を見付ける度に、むーきんぐの所に持って行きます。
その中から気に入ったものはケーキのトッピングに使っていました。
特に波に洗われて角のとれたガラス片がお気に入りのようでした。

自宅近くの人口海浜公園と違って、貝の種類も豊富です。
海で生活している生き物を生で見られるので、磯遊びはとっても楽しいと思うのですが、むーきんぐは動く生き物には恐怖が先立つようです。
波消しブロックの方に行くと、他にも色んな生きものがいました!

傘みたいな模様のいそぎんちゃく。

茶色い甲虫です。
干潮を見計らって、巻貝などの獲物を狙いに来たのでしょうか。

巻貝を見付けると、生きているものもいれば、中にヤドカリが入っているものもあります。
たくさんいたので、捕まえてむーきんぐの所に持って行きました。
後日読んだ『やどかりのいえさがし』という絵本によると、やどかりのはさみは東京湾を境に北は右、南は左が大きいのだそうです。
次回は是非やどかりのはさみの大きさにも注目したいと思います。
潮干狩りや海水浴などの磯遊びに出かける前に、海辺の生きものに関する本や、図鑑を見てから行くと、もっと楽しくなるような気がします。
カニを発見!

むーきんぐに見せるために捕まえました。(気の毒でしたが……)

いきなり引きずり出されて怒っています。
右のハサミが特に立派で、挟まれると痛そうです。
むーきんぐは触る度胸もありません。


われわれ以外にも、マテ貝を掘りに来た人々は多く、あちこちで干潟を掘り返しています。
別の小ぶりのカニを見つけたので、岩から引き剥がすと……

お母さんガニがお腹の下で守っていたんです。
余計なことをしました。罪悪感にかられます。
人間が自然に何かしらすると、彼らにとっては、ろくなことは起こりません。

私がいろんなものを持ってくるので、興味がわいたのか、波打ち際に向かってむーきんぐが歩いていきました。
タカラ貝の仲間です。この形は久しぶりに見ました。


波打ち際には貝類だけではなく、海草も打ち上げられていました。
昆布みたいな海草や、澄まし汁に入れると美味しそうなアオサ。
この海草は時々海草サラダのトッピングで見かけます。

むーきんぐが「ラーメン!」と言った、ちょっと奇妙なもの。

多分これも生きものです。海草なのか…… ちょっと触る勇気はなかったです。
後日『海べのいきもの』という絵本で、これがウミウシの卵であることを知りました!
これが本日の我々のターゲット、マテ貝の貝殻です。

おばあちゃんは小さな穴を見付ける度に、周囲に塩を振っているようでしたが、生きたマテ貝はなかなかつかまりません。
沖まで汐が引かないとやっぱり駄目なようです。

むーきんぐも波打ち際で活動を始めました。

ヤドカリには慣れてきたらしく、何匹も捕まえて容器に入れはじめました。

干潟で貝堀りをしている多くの人達を見て、自分も裸足になることにしたようです。
しかし、ちょこっと掘って、塩を振っても反応なし。

様子を見ていたむーきんぐが泥遊びを始めました。

実際われわれが砂を掘っても貝が出てこないので、むーきんぐには泥遊びにしか見えません。

浅瀬にイソギンチャクがいたので、むーきんぐをおぶって行って、一緒に見ました。
お昼になったので、一休みして、みんなで一緒におばあちゃんとパオちゃんが作ったお弁当を食べることにしました。

おじちゃんが掘ったアサリをむーきんぐにくれました。
早速バケツの中を確認するむーきんぐ。
このアサリは翌朝、むーきんぐのお味噌汁の中に全部入っていましたよ。
収穫は少なかったけれど、磯遊びはとっても楽しかったです。
今度は是非大潮のときに、マテ貝を捕まえてやりたいです。
福ノ江海岸の近くに「山門ぶどう園」や「ぬくもりの湯」があります。
潮干狩りの帰りにぶどう狩りと温泉もおすすめです。
山門ぶどう園 ⇒ コチラ
ぬくもりの湯 ⇒ コチラ
【むーきんぐといっしょ 関連リンク集】
・山門ふどう園で12月のぶどう狩り & 寄り道温泉「ぬくもりの湯」| 肥薩オレンジ鉄道でぶどう狩り⇒ コチラ
・天然温泉 ぬくもりの湯(出水市)で寄り道温泉♪ | 肥薩オレンジ鉄道 ぶどう狩りの旅⇒ コチラ
マテ貝に関する記事を見つけました。
マテ貝堀りの際にも参考になりそうです。【追記】20140429
父の記憶と大人の味
進路区の季節になると、たまらなく食べたくなる食べ物がある。
マテ貝とワケギのヌタである。
あの酢とみそと酒、佐藤であえた料理がなぜか、子どもの頃から好きだった。
「あのマテ貝のヌタを……」。
季節を迎えるたび、鮮魚売り場でササ竹のような特徴アル貝を探すが見つからない。
故郷の瀬戸内の島(広島県大崎上島町)でも「もう何年も売っているのを見たことがない」と姉(84)はいう。
「どこか取れている干潟はないか」-
マテ貝のヌタ
島にいる頃、マテ貝は細いワラ縄に束ねて売られていた。
「穴に塩をふるとピュッと出てくる」と効いたものの、潮干狩りで取ったことはない。
中学時代の仲間にリサーチを頼んでいたら、福岡県行橋市に住む級友E.Fさん(68)から電話があった。
「近くの長い開眼で取れてるよ。」
周防灘に面した砂浜だという。
潮汐表で官庁が昼間になる日を調べ、行橋市に向かった。
この季節、九州の山々は照葉樹が一斉に芽吹き、ブロッコリー様の緑に包まれる。
Fさんの案内で浜に下りた。
入漁料は500円。
岸から約20㍍おきで早速、砂泥に開いた円い穴に食塩を入れるが反応は「なし」。
1時間ほど試みたが、取れたマテ貝は長さ5㌢のものが1本だけ。
満ち潮に終われるように陸に上がった。
海岸沿いの焼肉店の主人E.Kさん(69)に聞くと「円い穴はカニの穴。マテ貝の穴はタマゴ形だ」という。
砂泥を深さ3~5㌢ほどクワで削り、それでも穴が開いているものがマテ貝の穴で「子どもの頃は、バケツ1杯くらいはすぐ掘りよった」と話すEさん。
旬は3月末から5月初めで、それを過ぎると産卵で身がやせ、うまくなくなるという。
「タテ貝はヌタあえが一番。焼いたものより、ワケギとのヌタこそ絶品。ありゃあ、うまい」とEさん。
マテ貝はやはりヌタなのだ。
ただ、獲物が1本では料理のしようもない。
再チャレンジを決めた。
翌日は中潮。
前日の浜より南の方が取れると聞き出かけると、すでに何組もの先客がいる。
岸から60㍍ほどの干潟で、教わった通りに砂を削り取ると、「ある、ある!」。
タマゴ型の大証の穴に、割り箸の先に乗せた食塩を次々と落とし込む。
やがて穴からジュワーと潮が吹き出し、マテ貝がピョコッと顔を出す。
つかみ損ねると、いくら食塩を注いでも二度と出てこない。
「ならば」と意地になって穴に腕をつっ込んでみた。
指先に殻が触れるたび、貝はスッとおくに引っ込む。
肘が隠れるほどの深さになっても、まだ垂直に引っ込む。
ギブアップである。
顔を出したとき「もっと出ろ、もっと出ろ」止まっていると、気配を感じるのか、サッと引っ込んで、もう出てこない。
タイミングが難しく、手持ちの食塩ばかりがなくなる。
Fさんは?と見ると、チョコッと顔を出した瞬間、情け容赦なくつかみ、引っ張り出している。
「仏心を出しちゃあ、取れないわよ。」
手元のざるを見れば、ほぼいっぱいではないか。
私の倍は取っていた。
2時間の潮干狩りで取ったマテ貝は約100本。
塩水で洗うと、ササ竹のような青黄色の姿。
ふるさとを出て依頼、50年ぶりに目にする懐かしのマテ貝がそこにあった。
発泡スチロール箱に持ち帰ったマテ貝は盛んに潮を吹いていた。
母の味を受け継ぐ姉に電話して、マテ貝とワケギのヌタの作り方を教わった。
「香りづけに木の芽(サンショウ)を忘れないように」。
マテ貝を少し湯がき過ぎたが、口にすると懐かしい香りと歯ごたえ。
この味がなぜ、子どもだった私の下に刻み込まれているのだろうか。
不意にセピア色の食卓が浮かび、ぼやけていった。
酒のさかなに、このヌタを好んだ父の前で、ご相伴に預かる坊主頭の私。
大人になった私が、父と杯を交わすことは-なかった。だから、なのか。
(毎日新聞 20140426 ライフスタイル もう一度食べたい 父の記憶と大人の味 マテ貝のヌタより)
【むーきんぐといっしょ 出水関連リンク集】
☆「2012 お正月 むーきんぐ出水の鶴を見に行く。」 ⇒コチラ
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