昨日は朝から広島市内に出張で、その帰りに、市内の名画座(にあたる「八丁座」)に寄って観てきました。
こういう地味!?な映画は、一般向けの大作映画?しかやってくれない地元の映画館では観れないので、機会がある時に観とかないとね!
電話からの声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルながらも予測不可能な展開で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだデンマーク製の異色サスペンス。
【あらすじ】
過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、交通事故の搬送を遠隔手配するなど、電話越しに小さな事件に応対する日々を送っている。そんなある日、アスガーは、今まさに誘拐されているという女性イーベン(イェシカ・ディナウエ)からの通報を受ける。車の発進音や女性の声、そして犯人と思しき男性の息づかいなど、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに、アスガーは事件に対処していくが…。
(以上、映画.com参照)
……………………………………………………
この映画、本当に最初から最後まで「緊急司令室」の中の動きだけで構成されています。
しかも、そのほとんどが、主人公アスガーが電話対応しているシーンで、時にはその目と鼻の辺りの超アップのシーンだけが延々と続く…ということも!
また、後で振り返ってみれば、「効果音」はあっても、いわゆるBGMにあたる余計な「音楽」はなかったかも…?!
スクリーンから聞こえてくるのは、「緊急コール」を受けたアスガーの声と、アスガーが電話で対応する相手の電話越しの声や息遣い、そして、その背後に聞こえるその場の状況を示す足音やらドアの開け閉めの音やら周りを走る車の走行音など…
それらの「音」だけを頼りにその場の状況を判断し、「適切」な対応をしようとするアスガーの気持ちに途中からすっかり同調してしまい、ハラハラドキドキが止まりませんでした。
もともと警察官として捜査の第一線に立っていたと思われるアスガーですが、今はたとえ電話の向こうでどんなに悲惨な「事件」が起こっていたとしても、自分が直接その「捜査」に携われる訳ではない。
自分にできるのは、その場の状況に最もふさわしい対応をしてくれる別の部署に連絡を入れるだけ!?
そのことに苛立ち、狭いブースの中のモノにあたってしまうアスガー…
さぞ悔しかったんでしょうね…
その姿を見て一緒に苛立ちながら、でもそこにアスガーの中の正義感や使命感といったものが読み取れて、そこに彼自身の「罪」(ギルティ!?)のヒントが隠されているとも思われ、感動のラスト!?への見事に布石になっているようにも思いました。
この映画、狭い「緊急司令室」の中だけの展開ということで、実は最後まで飽きることなく観ることができるかな…とちょっと不安だったんですよ。(; ̄ェ ̄)
でも、いざ観始めると、その一風変わった?!サスペンス風の展開と、「目に見えない」がゆえに掻き立てられる想像力!?によってグイグイとスクリーンの中に引き込まれていく自分がいました。
「音」しか頼りにならない世界ーー
これって、映画「鑑賞」とは相反するような、ある意味大スクリーンを使って観るのがもったいないような気もしますよね…
でも、だからこそ生まれる緊張感もあり、「見えない」からこその展開の面白さ(まあ、途中である程度読めてはきましたが!?σ^_^; )やカタルシスのようなものもあり、これはこれでありなのかも!?と思いました。
いや、むしろ余分な音をそぎ落として、ひたすらアスガーが聞いている電話の「向こう」の声や音にのみ神経を集中させることで、まさにアスガーと観客との一体感さえ生まれる!?
とりわけゾクッとしたのが、「音しかない」どころか、ある重要なシーンで、音が全くない!ことに気づいた時!
やられた〜!
こんな表現もあるんだ〜!?
と、軽いショックを受けました…
話の展開がちょっと読めちゃうところと、エピソード自体の数があまりないところ(序盤にもっといろんな「緊急コール」とそれへの対応が描かれていたらもっと興味が惹かれたかも?)、また、アスガーの「過去」についてもう少し突っ込んで描いても良かったのでは?!というのが、ちょっと不満といえば不満ですが(後から思えばです…σ^_^; )、最後まで緊張感をもって観ることができ、無理してでも観てよかったな…と思いました。
また来たいな…