トルファンの町の東北、火焔山の西の山間に、観光案内書に載っていた葡萄溝はあった。手元の古い案内書では人民公社となっていたが、今ではトルファンの観光スポット葡萄園といったところだ。
葡萄溝で売られていた葡萄酒と右側は葡萄酒店
延々と続く葡萄棚の下の通路の両側には、土産品屋や葡萄酒を飲ませる酒店などが軒を連ね、客で賑わっていた。ウイグル人の売り子はその前を通っても声をかけるでもなく、あまり商売熱心とはいえない。一方、漢人の売り子は積極的でしつこいくらいだ、ある店の漢人の若い女が木彫細工を買えとしつこく付きまとうので、うっかり「イクラ」と言っしまった。こんな時は言葉で応じてはならないのが鉄則だが、相手は俄然元気になり「三百元(4500円)」私が要らないと言って歩きだしても、「二百七十元、二百五十元」と口から唾を飛ばしてついてくる。始めのうちはからかってたつもりが、汚いのなんの、根負けして「二百元」と言ってしまった。すると相手は「オーケーオーケー」シマッタ!私はうろたえて逃げようとしたが、女は私の腕をしっかりつかんで離さない。チキショー!こんな事なら二十元と言えばよかったョ。ガッカリした私は、小さな木彫品をおまけに付けて貰って二百元払った。その後、女の話を聞くと、山東省から出稼ぎに来ていると言った。観光地には中国各地から彼女のような出稼ぎ者がやって来ているという。中国女性はなんとも逞しいかぎりだ。
山東省から出稼ぎに来たという女性