これを見ればどれだけの緑が伐採され、そこに住む命が奪われるのかが分かるはず。
外苑の森はほとんどが失われる。そこで息づいている虫もいなくなり、それを餌とする鳥も来なくなる。
筋肉脳と金を手にすることしか考えないアタマによって永遠に先人達が築き受け継がれた森が消える。球場もラグビー場も自然の芝や光が失われ、競技の醍醐味も失い、結局それが競技人口や選手達に暗い影を落とすのだ建物と同じように。

東京都は企業に丸投げで、公としての責任を放棄している。
3月の記事だけどどれだけの人が目を通したろうか。

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外苑再開発、ついに始まる… 樹木伐採して高層ビル建築へ 規制緩和は東京五輪で進んだ

2023年3月23日 06時00分


 東京・明治神宮外苑地区で22日、神宮第2球場の解体工事が始まり、一帯の大規模な再開発が本格的にスタートした。外苑地区は東京都心の風致地区として100年近く守られてきたが、東京五輪を機に東京都が建築規制を緩和した。今回の再開発でさらに高層建築が立ち並び、歴史的な景観は大きく変わる。(森本智之)

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◆743本を伐採 190メートルのオフィスビルなど建設

 再開発の事業者は三井不動産や明治神宮など4者。外苑地区を「世界に誇るスポーツクラスター(集積地)」にすることを目的として、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場の敷地を交換して建て替える。その際に190メートル、185メートルのオフィスビルなど複数の高層建築も建てる。2036年に完了する。

 再開発の着手に向けた行政手続きの過程で、中央大研究開発機構の石川幹子教授が1000本近い樹木の伐採の恐れがあると指摘し、大量の樹木伐採が表面化した。事業者は伐採の見通しを当初の892本から2割減らしたが、743本にのぼる。

 外苑のシンボルであるイチョウ並木の生育を阻害するとの懸念も根強く、再開発が自然環境に与える影響をめぐって、都環境影響評価審議会の議論は長期化。事業の着手は当初の計画より遅れていた。

 周辺住民らは2月、都に再開発の施行認可取り消しを求めて提訴。再開発の見直しを求めるウェブ署名は12万2000人を超えている。


◆「風致」守るはずの東京都は、五輪を機に「高さ15メートル」規制を緩和


 明治神宮外苑地区の再開発が実質的に動き始めたのは、東京都が五輪開催都市に決まった2013年だ。

 外苑地区は都の風致地区条例で高さ15メートルを超える建物は制限されていたが、五輪の主会場として国立競技場を建て替えるため、この年、東京都は75メートルに一気に緩和した。都は風致を守る立場にありながら自らその禁を解いた。

 この規制緩和の恩恵を受け、東京五輪開催前には、日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会が入居する高層ビルやホテルなどが建設された。都営霞ケ丘アパートは一連の再開発で取り壊され反対運動も起きたが、その隣にあった民間マンションも規制緩和によって建て替えられ高層化が実現した。

本格的な解体工事が始まった明治神宮第二球場=本社ヘリ「おおづる」から


 22年にはさらに高さと用途の建築制限を緩和した。五輪後に行われる今回の再開発は第2段階に当たる。第1段階を含めると、規制緩和によって可能になった建築物は10カ所に及ぶ。

 国立競技場は「巨大すぎる」などと批判のあったザハ・ハディド氏デザインの当初案が建設費の高騰で白紙撤回された後、建築家の隈研吾氏が「外苑の景観に溶け込ませることに最もこだわった」として高さを47メートルに抑えた。だが、国立競技場をのぞく九つの建築物はいずれもその高さを超える。