トラックの荷台に現金自動預払機(ATM)を搭載した金融機関の「移動店舗車」が活躍の場を広げている。もともとリストラや老朽化による店舗の統廃合でサービス空白地域となった自治体を回るのが目的だったが、高齢者の生活支援で食料品を扱うケースも。昨年10月の台風19号の被災地にも駆け付け、浸水被害を受けた店舗で預金の引き出しや被災者の相談に応じるなど災害対応にフル稼働した。県内では計3台導入にとどまっているが、災害が増加する中、今後注目を集めそうだ。
JA常陸(常陸太田市)は同市内の中山間部にある支店を統廃合したことから金融サービス維持のため、2017年に2台導入した。そのうち1台は車を運転できないなどの買い物弱者支援のため、食料品を運べるよう冷蔵冷凍庫を備えた。同JAの移動店舗車はATMを搭載せず、職員が直接窓口端末機を使って現金の出し入れなどを受け付ける。利用者は肥料などの資材注文もできる。
車は同市内の計15カ所を平日に巡る。閉店した5支店の地域を中心に、曜日ごとに毎日エリアを変えて1日3カ所、各1時間ほど滞在する。車内には加工食品や調味料、菓子類などがびっしりと並ぶ。商品は同JAの直売所で積み込んで販売している。
同市町屋町の河内公民館に停車する移動店舗車「地元だいすき!!号」から、穏やかで心地よい曲が流れている。同市出身の音楽家、マシコタツロウさんが歌う同市の歌だ。高齢者が「歌で気付いて急いで来た」と徒歩や電動車椅子で駆け付けた。外出時は離れて住む家族に送迎を頼むという女性(88)は「週1回ほど娘にお願いしているが忙しいときもある。一人で来られて助かる」と話す。利用客は1日に10〜20人程度だが、同JAは「地域の生活支援と利便性の維持を目指している」と話す。
この地域では個人商店が閉店し、食料品購入に車で片道30分ほどかかる場所もある。車を運転できない高齢者が多い。
店舗車の導入時から運転や警備を務める同JAの岩間正保さん(67)は「買い物に行けないからありがたいと言われ、やりがいがある。お客さん同士が元気で過ごしているかを確認する場にもなっている」と目尻を下げた。
台風19号の被災地では移動店舗車が大活躍した。常陽銀行(水戸市)は15年1月に導入した「移動相談車」1台が15日間出動した。相談ブースとATMを搭載しており、ATMが冠水した常陸大宮野口出張所と、避難所になった水戸市の飯富市民センターの2カ所で預金の出し入れや相談に応じた。
導入した年に発生した関東・東北豪雨で被災地に出動した経験から、ぬれた貨幣の相談や貴重品を支店で預かるサービスへの案内もスムーズに対応できたという。
同行は店舗が少ない地域でサービスを充実させようと相談車を導入し、県内を中心に週2〜3日稼働。求めに応じて会社や工場に出向き、平日に店舗に行くのが難しい利用者の預金出し入れや資産運用などの相談を行う。住宅展示場で住宅ローン相談や、地域のお祭り、イベントで活躍している。同行は「今後もお客さまのニーズに合わせて出動していきたい」としている。
JA常陸は御前山支店(常陸大宮市野口)が冠水したため、同支店前で2台が交互にぬれた通帳の記帳や預金の出し入れに対応した。
国内ではATMを搭載した移動店舗車が増加傾向にある。移動店舗車を扱う最大手のオリックス自動車(東京)によると、自社製品を中心に150台程度が稼働しているという。(大貫璃未)
高齢者の多い地域だけでなくぜひ中規模程度の地方都市でもやって欲しいです。首都圏近郊の外は車がないと動きにくいです。国が下地を作って民間が乗っかる形はこういう事案が良いんではないでしょうか。

民間は赤字路線は廃止の方向です。地球温暖化ストップにも一役買うと思うのですが。
金融機関の移動店舗車 支店統廃合地で生活支援 ATM搭載、食品販売も
2020/01/11 07:00
