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花曇りの昼下がり…

どんよりとした春霞の蒼空。


春 まだ 浅い 不安定な三月の


湿度を含んだ 湿った南風が


強く吹き抜けて行くたびに


心の奥深くに綴じ込んだ

想いの湖が

静かに波立ち ざわつくのは


新しい季節へ移り変わることへの

不安な想いからなのか…?


それとも

行く先の不透明な 未来への

ささやかな 抵抗なのか…?



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霞懸かった 春の夕暮れが

訳もなく せつなく感じるのは


野に咲く

ありふれた草花の薫りと

あなたの吹く

ハーモニカの音色が

不意に

忘れかけた 哀しみを 連れてくるから…。



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夕陽の後を追いかけるように

西の空に傾く しっとりと 美しく輝く 三日月が


やがて 雲に隠れると

深夜から

霧雨が降り出し


明け方まで

静かに 静かに

降り続いた。


春の長雨が

愁いの色を帯び、

雨に煙った街を

優しく 包んでいた。