我が国は真の独立国ではない!?
戦後七十有余年、いまだ我が国は真の独立国ではありません。昨今の我が国では、少子高齢化、人口減少が急速に進み、社会保障支出が拡大して財政赤字が累積する一方で、日本経済はバブル崩壊以降の長い景気低迷をいまだに抜け出せずにおります。また海外に目を向けると、これまで「世界の警察」を自任していたアメリカでは、自国第一主義を掲げるトランプ大統領が誕生し、同盟国に防衛負担の強化を求め、米軍の世界的なプレゼンスを縮小させる一方で、近年露骨な海洋侵略や軍拡を続けるチャイナへの対決姿勢を鮮明にしています。こうしなかで、我が国はいまこそ国家としての真の独立を取り戻し、自らの力で存続の活路を切り開かねばなりません。
「え?、日本が真の独立国じゃないなんて、何言ってるの?」と思われるかもしれません。たしかに、我が国は1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効によって名目上の独立を回復しましたが、実際には我が国の再軍備を禁じる戦後憲法と日米安保条約によって、アメリカによる軍事的占領状態が継続し、今日に至っております。また、戦後の占領政策に基づく、徹底した自虐史観教育によって、皇室を戴く我が国固有の国柄(国体)への誇りや、自主独立の気概は失われ、道徳は荒廃し、拝金主義が蔓延しています(数年前、ある新聞の調査で、2月11日の「建国記念の日」の由来を知っている国民が二割に満たない事実が明らかになりました。国民の大半が建国の由来を知らないというこの事実は、我が国が真の独立国ではない端的な証左です)。
さらに冷戦終結以降は、アメリカの外圧によって、新自由主義的な構造改革が強行され、共同体主義的な日本型経済システムが破壊された結果、貧富の格差は拡大し、婚姻率や出生率は低下し、食料自給率も低下の一途をたどっています(我が国の食料自給率は38%、穀物自給率は28%であり、先進国のなかでも異常な低さです)。西郷隆盛は、『西郷南洲遺訓』のなかで「政の大体は、文を興し、武を振るい、農を励ますの三つにあり。その他百般の事務は、皆この三つの物を助くるの具なり。」と述べておりますが、国家の独立は、自主独立の精神と軍事力、そしてそれを支える経済力、なかんずく国民の生命を維持する食料の三位一体によって成り立つものであり、そのどれか一つでも外国に依存するような国は真の独立国とは言えません。その意味で、現在の我が国は独立国ではないのです。
教育と農業の行政主体は県である。
したがって、我が国が真の独立を取り戻すためには、第一に教育を再生して、国民に日本人としての誇りと自主独立の気概を取り戻し、第二に、自主防衛体制を確立し、第三に、農業を振興して、食料自給体制を構築せねばなりませんが、第二の防衛政策を除いて、第一と第三の教育と農業の主たる行政主体は、国ではなくて県なのです。例えば、教育に関していうと、私はこれまで、浦安市における歴史教科書の改善運動に取り組んで来ましたが、教科書を採択する市の教育委員の任命権は市長にあるものの、教育委員の代表である教育長の教員としての人事権は県の教育委員会が掌握しています。よっていくら市長が適正な教科書を採択するために自らの意向に沿う教育長を任命しようとしても、教育長は教育委員である前に一教員であり、その教員としての人事権は県の教育委員会にある訳ですから、当然採択もその意向に左右されてしまいます。また浦安市の教科書採択は隣接する市川市との共同採択になっておりますが、そうした採択地区を決定するのも県の教育委員会です。したがって県の教育行政を変えなければ我が国の教育再生は不可能なのです。
同様のことは農業についてもいえます。昨年(平成三十年)四月に、安倍内閣によって我が国の農作物の種を守ってきた「種子法」こと主要農作物種子法が廃止され、モンサントといったグローバル種子企業による遺伝子組み換え種子の流入などが危惧されております。この種子法廃止については、私も安倍首相に意見書(「種子法(主要農作物種子法)の廃止に抗議し、同法復活と併せて必要な施策を求める要望書」)を提出して抗議しましたが、実はこれまで種子法に基づき種子の生産や普及を担ってきたのは国ではなく県なのです。このように、我が国の真の独立を取り戻すためには、県政を改革せねばならないのです。
千葉県から日本の独立を取り戻す
そのうえで、千葉の教育と農政の現状はどうかと言いますと、平成27(2015)年の調査で、千葉県は小中学校におけるいじめ件数が全国ワースト1位、対教師暴力等の暴力行為の件数が全国ワースト3位を記録してしまいました。一時の数字だけで判断は出来ませんが、教育現場の荒廃が推測されます。こうしたいじめや暴力の問題は、戦後民主教育のなかで、学校や教師が威信を失い、偏った権利教育のせいで、規範意識が低下したことの結果ともいえます。また公教育の荒廃は、教育機会の均等という理念を形骸化させ、実質的な教育格差の拡大を招くという意味でも問題です。日本人としての正しい道徳を育み、自分という存在が、無から生まれたものではなく、親や祖先、国家の営みのなかで生かされていることを教えねばなりません。
農業についても、千葉県は米の生産量が全国八位の全国有数の農業県です(農林水産省「平成29年産水陸稲の収穫量」)。しかしながら、種子法廃止を受けて作成された「千葉県主要農作物種子対策要綱」では、「農業競争力強化支援法の趣旨を踏まえ」とあり、この法律は、我が国が蓄積した種子に関する知見を、外資を含む民間企業に提供することが明記されていることから、県の種子技術の流出が懸念されます。したがって、県として独自の種子条例を制定し、しっかりとした予算的裏付けのもとに主要農作物の在来種を守り、食の安全、安心を保障することが是非とも必要です。そして県として、耕作放棄地の無償提供や所得補償などによって就農支援に本腰を入れ、何としても県内食料自給率の引き上げを図らねばなりません。「浦安は農業がないから関係ない」と思われるかもしれません。しかしそうした考えは間違えです。私たちは浦安市民である前に日本国民です。日本がなくなれば千葉も浦安もありません。浦安から、千葉から、地方政治の改革を通して日本の真の独立を取り戻す、それが私の志です。