師匠「子供殺しの件だが...」
私「連続子供殺し事件?」
師匠「そうだ」
私「いま日本のあちこちで起こっている...」
師匠「......」
私「一件一件は独立した...」
師匠「......」
私「大人による連続した子供殺し?」
師匠「そうだ」

師匠が仕事の話を持ってきた。
いつものことなのだが、
詳しい説明などはあまりしない。
基本的には、自分で考えさせるのが師匠流だ。


私「あれって、単独犯?」
師匠「......」
私「日本の各地で何人もの大人に憑依して...」
師匠「......」
私「次々と子供を生け贄にしている者が...」
師匠「......」
私「いるんですね?」
師匠「......」

よくあることだ。
血の贄は、美味しい御馳走である上に、
貴重なエネルギー源となる。
ただし、
そういう行為は処分の対象となりうるが。

処分されるか否かは、
その時代の、そしてその地域における、
管理責任者の方針にもよるし、
実行犯と処分担当との力関係にもよる。
取り締まる側の手に余る犯人であれば、
実際問題として、放置されてしまう。


私「最近、急に増えたというか...」
師匠「......」
私「矢継ぎ早に連発してるというか...」
師匠「......」
私「妙だな、とは思ってましたが」
師匠「......」

静かな師匠。語る私。

私「本当に単独犯ですか?」
師匠「......」
私「変な組織の末端とかじゃないでしょうね?」
師匠「......」
私「調査も含めて私に一任ということですか?」
師匠「......」


師匠は寡黙な人だ。
典型的な職人肌の仕事師タイプであり、
自分にも他人にも厳しい。
無論、私にも厳しい。

そう、私が子供の頃から、
これまでずっと師匠は私に厳しかった。

姿の見えない師匠の存在を知ったのは、
ほんの数年前のことだが、
私が生まれた時からひたすら私を見守って、
成長期、そして成人してからも、
師匠が私を陰ながら指導してきたことを、
私はあとから理解した。

そして、
これまでの自分の数十年を振り返ってみて、
師匠の私への指導方針が、
どれだけ厳しかったか、私は知った。


師匠「頼むぞ」
私「わかりました」

私はこの件を引き受けた。