今宵は「ゴルディアスの結び目」短文 | Silent Code

今宵は「ゴルディアスの結び目」短文

夜の種族のみなさんこんばんは。
静寂をたたえた夜の時代、芸術が魔術だったころに思いを馳せて

今宵は「ゴルディアスの結び目」短文

大陸の南西の奥地に打ち捨てられた教会
宣教の残骸

月が満ち始める夜
暗い肌の半裸の男達が廃墟と化した礼拝堂でくるったように太鼓を打ち鳴らし始める

沢山の時間
混沌としたリズムがおおきなうねるような調和を生み出そうとする刹那
1人の少女が表れる

宣教師との混血

褐色の皮膚の下の血管が透き通って見える
暗く透明な肌
ローマ時代の彫刻のような美しい体

喉が小刻みに震え始める
灰色の右目から涙が溢れる

彼女の声が頭上から降り注ぐ

地上の原始の人間の肉体のリズム
天上の悠久の宇宙の最初の声

大陸の南西のその奥地でゴルディアスの結び目がゆるむ


今夜もまた、静寂に帰ろう
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