(通勤災害の定義)
・労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡をいう。
・通勤とは、労働者が就業に関し、次の①~③の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除く。
① 住居と就業の場所との間の往復
② 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
③ ①の往復に先行し、または後続する住居間の移動で、所定の要件に該当するもの
(通勤と認定されるための要件)
◇通勤との相当因果関係
・通勤に通常伴う危険が具体化したことをいう。
◇就業関連性
・移動行為が、業務に就くため・業務が終了したため行われるものであること。
・たまたま私生活上の必要等の理由で住居と就業場所間を往復するような場合は、通勤には該当しない。
・サークル活動や組合活動等で早め・遅めに出退者する場合は、その活動時間が長時間(概ね2時間超)となる場合を除けば、通勤に該当する。
◇住居と就業場所との間の往復
<住居>
・単身赴任等で、帰省先住居とは別に赴任先住居を借りている場合には、赴任先住居が「住居」に該当する。
・帰省先住居からも通勤することに反復継続性(概ね毎月1回以上)がある場合は、赴任先住居とともに双方が「住居」と認められる。
・やむを得ない事情で就業のために一時的に居住の場所を移している場合(ストライキや台風等)、その宿泊場所も「住居」と認められる。
<就業場所>
・会議・研修の会場や会社の行う行事の現場なども含まれる。
<往復>
・不特定多数の者の通行を予定している場所での往復をいう。
・一戸建て住居の玄関先で事故が発生した場合は住居内での事故であり、「往復」とは認められない。
◇厚生労働省令で定める就業の場所から他の集合の場所への移動
<厚生労働省令で定める就業の場所>
・起点となる就業場所で、①~③のいずれか。
① 労災保険の適用事業及び労災保険の保険関係が成立している暫定任意適用事業に係る就業場所。
② 特別加入者に係る就業の場所。
③ その他、①②に類する就業の場所。
<他の就業の場所>
・労災保険の通勤災害保護制度の対象となる事業場に限る。
→複数の事業場間の移動は、その移動の終点たる事業場において労務の提供を行うためになされると考えられるため。保険関係の処理についても、終点たる事業場の保険関係で行う。
◇住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動であって、所定の要件に該当するもの>
・単身赴任者等が転任に伴い、
・帰省先住居と就業場所との間を日々往復することが困難となったため
・住居を移転した労働者であって、
・やむを得ない事情により、
・帰省先住居に居住している配偶者(事実婚を含む)、子(労働者に配偶者がいない場合に限る)、父母または親族(要介護状態で当該労働者が介護をしていたもので、労働者に配偶者・子がない場合に限る)と別居することになったもの。
→さらに、
・帰省先住居への移動に反復・継続性が認められ、次の①・②の要件を満たす。
① 帰省先住居→赴任先住居
原則として、業務に就く当日又はその前日に行われたもの。
② 赴任先住居→帰省先住居
原則として、業務に従事した当日又はその翌日に行われたもの。
【やむを得ない事情】
・配偶者が、要介護状態にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護する。
・配偶者が、18歳年度末までの子を養育する。
・配偶者が、引き続き就業する。
◇合理的な経路及び方法
・合理的な経路…社会通念上一般に通行するであろうと考えられる経路。
・合理的な方法…社会通念上一般に是認されるであろう手段。
→会社に申請している通勤方法と異なる通勤方法であっても、通勤と認定され得る。一方で、交通禁止区域の通行などは合理的方法とはならない。
◇業務の性質を有するものでない
移動が業務の性質を有すると認められる場合→業務災害となる。