(定義)
労働者の業務上の負傷・疾病・障害又は死亡を業務災害という。
業務遂行性を前提に、業務起因性が必要。
(業務遂行性)
以下の例に掲げるような、労働者が使用者の支配下にある状態をいう。
・作業中(事業主の私用を手伝う場合を含む)
・飲水・トイレ等の生理的行為による作業中断中
・作業の準備や後始末・待機中
・事業所施設内での休憩中
・出張中(住居と出張先との間の往復を含む)
・通勤途上であっても、業務の性質が認められる場合
(業務起因性)
業務に内在する危険有害性が現実化したと経験則上認められることをいう。
以下のような場合には、業務起因性が否定される。
・労働者の積極的な私的・恣意的行為により発生した事故(自己の業務とはまったく関係ない他人の業務を手伝ったことによる事故など)
・特殊的・例外的要因により発生した事故
(業務上疾病の認定)
業務と相当因果関係にある疾病をいう。
「厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2」に該当するもののみが業務上疾病として認定される。
→同別表の最後(第11号)においては、「その他業務に起因することの明らかな疾病」と規定され、業務との間に相当因果関係があると認められる疾病について包括的に業務上疾病として取り扱うこととされる。
→過労死の原因となる脳血管疾患・心臓疾患について、同別表の第8号(長期間にわたる長時間の業務等)・第9号(心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務等)に定めがあり、それぞれ通達が発遣されている。
【脳・心臓疾患の認定基準(第8号)】
以下①~③のいずれかによって、脳・心臓疾患を発症。
① 異常な出来事
発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと
② 短期間の過重業務
発症に近接した時期(発症前概ね1週間)において、特に過重な業務に就労したこと
③ 長期間の過重業務
発症前の長期間(発症前概ね6箇月)にわたり、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
【心理的負荷による精神障害の認定基準(第9号)】
以下①~③をいずれも満たす。
① 対象疾病を発病している。
② 対象疾病の発病前概ね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる。
③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により、対象疾病を発症したとは認められない。