(均等待遇の原則)
・使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。(法3条)
【限定列挙】
国籍、信条、社会的身分は限定列挙である。
また、「性別」はここには含まれていない。→男女雇用機会均等法による制限
【労働条件】
職場における労働者の一切の待遇であり、解雇も含まれるが、採用は含まれない。
→最大判S48.12.12三菱樹脂事件
(男女同一賃金の原則)
・使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。(法4条)
【賃金の意義】
賃金額だけではなく、賃金体系や賃金形態(月給制や日給制など)も含まれる。
(強制労働の禁止)
・使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。(法5条)
【精神又は身体の自由を不当に拘束する手段】
長期労働契約(法14条)
賠償額予定契約(法16条)
前借金相殺契約(法17条)
強制貯蓄(法18条)
など
【意思に反した労働の強制の異議】
労働者の意思を抑圧し、その自由な発言を妨げて労働を強制すること。必ずしも現実に労働することを要しない。
【罰則】
1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金(法117条)
労働基準法上最も重い罰則
(中間搾取の排除)
・何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。(法6条)
【法律】
職業安定法又は船員職業安定法
【業として利益を得るの意義】
営利目的・同種行為の反復継続性
1回の行為であっても「反復継続し利益を得る意思」があれば該当する。
(公民権行使等の保障)
・使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。
但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。(法7条)
【変更】
日にちの変更はできず、時刻のみ。
【有給か無給か】
公民権行使に係る時間について有給か無給かという点は、当事者の自由とされる。
【判例】
使用者の承認を得ずに公職就任した者を懲戒解雇とする旨の就業規則条項は無効。
公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれがある場合においても、普通解雇とすることは別として、懲戒解雇に附すのは許されない。(最二小S38.6.21十和田観光電鉄事件)
【公民権の例】
選挙権・被選挙権、最高裁判所裁判官国民審査
地方自治法による住民の直接請求
行政事件訴訟法による民衆訴訟
(一般の訴権行使は該当しない)
【公の職務の例】
衆議院議員等の議員の職務
裁判員、労働委員会の委員、労働審判員など
民事訴訟法の規定による証人の職務
(予備自衛官の防衛召集・訓練召集や非常勤の消防団員の職務は該当しない)