東雲は今年から通うことになる学校のパンフレットを見て嫌そうな顔をした。
パンフレットには、大きい古城になっている校舎の写真の上に学校名が書いてある。
“オウル魔術開発学校”
親からこのパンフレットをもらったとき、この親は正気か?と思ったものだ。
我が家はごく普通の一般家庭だと生まれて12年間ずっと思っていたのだが、
つい先日、父から「実は父さん達は魔法使いだったんだよねー、だから明良は中学ここね?ハイッ決まりー」
と言われ、母から「必要な荷物は全部揃えたからね☆」と、自分がその学校に行くことが決定事項と
みなされ、現在東雲明良(12歳)は、その“オウル”(めんどくさいから略)行きの列車に乗っていた。
列車内のコンパートメントに陣取ってパンフレットを嫌そうに見ていたそのときだった。
「あれ?オマエ東雲じゃね?」
ん?可笑しいな知人はいないと思うのだが…。
「誰」
ぶっきらぼうに言って自分の名前を言ったやつを見る。するとそこには知らない顔があった上に
やけに顔がいい。
誰だったっけ。こんだけ嫌味なくらい顔がいいヤツだったら覚えてるはずなんだが。
自慢ではないが、いつも他人から記憶力はいいと言われているから滅多なことで人を忘れたりしない。
「いや、キミは僕を知らないだろうね。僕は月見里だ。精神系が得意でね。人の心を読むことに
少しだけ長けているんだ。ま、家系的な能力だけどね。月見里家はそんなのばっかりだから」
「そうだったのか。宜しく月見里。実は先日自分が魔法使いだと知らされたばかりで
魔法のこととか能力とか良くわからないんだ。」
月見里はへぇーという顔をしたあと銀糸の髪を揺らしてキョロキョロしてから、ニヤリと笑い、
「ところで、空いてるんだったら座っていい?他にも…空いてるんだけど微妙なヤツばっかなんだ。」
と言い、自分の隣を指さしたあと、勝手に座った。
どうせはじめっから座るつもりだったのだろう。そんなだったら聞かなきゃいいのに。
それからしばらくして、自分は地獄を味わうことになった。
た、確かに自分も友人は欲しかったが、ハッキリ言うと、顔の良すぎる友人はあんまり要らない。
むしろいらない!なぜかって?だってさっきから横とか斜め前後のコンパートメントに座っている
女子の視線が刺さるし。人に注目されるのはキライだし。
視線がこっちをむいているのはどう考えても月見里のせいだし。ま、別に月見里が直接悪い訳ではないが…。
兎に角こういうのは大ッ嫌いだ。
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