子どもの頃クラスに、頑張って頑張って頑張って勉強している女の子がいた。

かけ算を毎日一時間唱え、母に言われた漢字を何度も練習し、週数回ピアノに通っていた。

でも成績は学年で一番できない。

担任の先生も手を焼いて、いつも休み時間や放課後に勉強をみていた。


かけ算は半分覚えたくらい。しかも覚えた順番に一度言わなきゃ答えがでない。
漢字は一年生の内容。
ピアノはそもそも楽譜が読めない。


誰より頑張っているのに、誰よりできない。

私を含め他の友達は、かけ算なんて数回唱えただけで覚えられた。


世の中、努力すれば実るものじゃないんだなぁ…と考えたときに時々思い出す。


神様なんていないと思っているけど、もしいるなら不平等な考えそのものだ。

頑張っても報われない。
でも生きていかなきゃいけないから、諦めてしまうこともできない。


不妊治療も同じだよね。

私はその子のことを見て「大変だなぁ」「かわいそうにな」と思ったけど、「なんでできないのかわからない」とも思ってた。

たぶんタイミングが、不妊が、流産が、と一喜一憂している私の気持ちは不妊じゃない人には絶対わからない。「大変だね」という同情はあっても、「配慮しなきゃ」とすべて不妊の人ありきで考えてくれる人はいない。

わかってもらおうと思うことが傲慢だし、間違ってる。

その立場にないとわからないものを、当事者意識を持って理解してもらうことはできない。
世の中ってそういうものだ。


それを「わかってよ」「慮ってよ」「配慮してよ」と叫ぶ人が、憐れみと侮蔑を込めて「不妊様」って呼ばれるんだろうね。


今日職場で「妊婦様」を見て思ったよ。
気を付けなければ。

くわばらくわばら。