漆喰で壁画をつくりました (その1 着工前) | 漆喰九一のブログ

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名古屋市北区の左官屋です。
国産天然素材のみを原料にした漆喰を、オリジナルで開発・製造・販売・施工しています。

岡島です。


今年の初夏のことです。

「新築の玄関ホールの吹き抜けの壁いっぱいに、漆喰でコテ絵ってつくれますか?」

そんな、一瞬耳を疑う依頼が、緑区の安藤建築様から漆喰九一に舞い込みました。

えーっと、、、そんな巨大なコテ絵って・・・壁画、みたいなこと??

遠い目をしている社員を尻目に、「はい、できますよ」と快く引き受けている社長。

え、できるの?でも社長なら昔なにやってたかわからないし、できるっていってるし、大丈夫かな、たぶん、なんて気軽に構えていたのが、まさかこんなに、いろんな意味で思い出深い現場になるなんて。


その現場の施工前がこんな感じ。


大きいな~。。デザインはお任せで、という依頼とはいえ、青山画伯にここになんでも描いていいよって言ったら、ものすごいものが爆発しちゃうだろうし、個人宅だし、玄関だし、わ~、どうしようどうしよう。


ここはやはり、施主様の思いやイメージが大切。少しでもそこに近づけられるよう、安藤建築様と施主のHさんご夫妻、漆喰九一でデザイン案をもちより、何度も刷り合わせをし、話し合いを進めました。

そのときHさんからいただいたイメージ画の紙には、

「いのち」-生き抜く-自然と希望


という文字が書かれていました。

これが、この壁画の大きなテーマとなりそうです。

詳しく伺うと、Hさんは小学校の校長先生をされていて、「いのちの授業」という活動をとおして、いのちの大切さや生きることへの思いについて語り部をされている方を応援しているとのこと。

「いのち」-生き抜く-自然と希望 ということばには、Hさんが人生においてとても大切にしている思いが、込められていることが分かりました。


この大切なテーマを、どう表現するのか。なにを描くのか。

漆喰九一の悩む日々が続きました。(嗚呼、こんなに仕事でまじめに悩んだりする日がくるなんて。九一さん、見てますか)


Hさんと何度かお話をする中で、魚釣りが大好きということを知りました。そんなHさんにとって「自然」の中で一番「希望」に満ちているのは、漁場に向かって舟を進めているときではないだろうか。

そんな想像から、この近くを流れる木曽川の景色を表現しようと決めました。


素材については、建物が和風なので、木などの自然のものにしよう。和に調和した手法を日本画から取り入れてみようか、山や、霞、空の表現は、浮世絵を参考にできないだろうか。

いろいろなアイデアを出しながら、デザインを固めていきました。


こうして、(簡単にできるよって言っちゃったわりに)かなり壮大な壁画への挑戦が、はじまったのでした。



つづく。(全5回、くらい)