今日は、シャンティ学生寮のご紹介をさせてください。
タイ北部パヤオ県ポン郡、田んぼの真ん中に位置する寮で、
現在、47名のモン族、アカ族などの中高生が生活しています。
出身の村からは通学できない、主に、モン族の子どもたちの教育状況を改善するための施設です。
土曜日は、農作業の日です。
11月の収穫にむけ、田んぼの整備をしています。
稲の成長をたすけるため、雑草やカニを少しずつ取り除かなければいけません。
寮生たち自ら、お米をつくり、野菜を育て、豚・鶏を飼育し、
食料確保の安定を目指しています。
シャンティ寮は、子どもたちの自活の場です。
農作業だけでなく、そうじ・洗濯、食事の用意などを分担して行います。
食事の時間は、やはり、一番楽しい時間。
大盛りのごはんを、みんなでわいわい、笑顔で食べる姿は、清々しいものです。
中学生のころから、家族と離れて、寮生活を始めるのは、
時には、さみしく、辛くなることもあると、寮生は話してくれました。
それでも、家族同然のなかまと一緒に、ここで勉強ができることを幸せに想うとも。
村には、学ぶことを断念した友だちが多くいるのだそうです。
山岳地を多く含むタイ北部には、モン族、アカ族の他にも、多くの民族が暮らしています。
発展するタイにおいて、一般タイ人の教育状況が向上しつつある中、
彼らのように民族マイノリティの子どもたちへの対応は後回しになりがちです。
近代化したタイ人の生活習慣から考えると、
自然と共に、自給自足で暮らす山岳民族の人々は原始的と捉えられるせいか、
蔑視の感情ものこります。
自身もモン族出身である寮スタッフの言葉です。
『自分たちの文化が、この地球からなくなることは人間の損失だ。
多様な文化があってこそ、豊かな地球であり、
多様な文化を認め合える心が、豊かな人間社会を創る。
だからこそ、胸を張って、自分たちの文化を多くの人に紹介できるようになろう。』
どういう支援であれ、子どもたちの誇りを育むメッセージを
伝えていける支援であらねばならないと、自戒する言葉です。
国際部コーディネーター松尾久美