親戚回りの旅をしていたわけだけど、もうすぐ寿命が来るのが分かっていたから、花猫三世を連れて里に帰ってきた。
両親に花猫三世を恋人として紹介して、数週間後、家の敷地内にある先祖の墓参りに彼女と行った。
いい風が吹いていて、心地いい。
芝生の丘を見つけて、ねっころがった。
花猫三世も隣につきあってくれた。
「子供できてたら、名前どうする?」
「アカツキかヒナタがいい。アサヒが生むから」
「分かった(笑)」
「なんだか、眠い・・・」
「眠ってもいいよ」
「分かってたんだ」
「ん?」
「いっぱい咲くといいなぁ」
「なんだ?」
「今度の眠りは、だいぶ永くなるらしい」
「まさか・・・来てるのか?寿命?」
「うん・・・」
「どうしたらいい?」
「分からないや」
「側にいる」
「ここに、墓を」
「わかった」
「最後の言葉を残したい」
「うん」
「最高の旅路だった・・・この場所を旭ヶ丘と名付ける・・・以上」
「分かった」
俺が眠りについた数秒後、俺の仕掛けた魔法で丘いっぱいに花が咲いた。
俺が死んでから分かったことだが、花猫三世は俺の子供を腹に宿していた。
後天性コズリスに子供ができるのは奇跡とも言える。
生まれたのは男で、名前はアカツキ。
俺に見た目がそっくりらしい。
今日は花猫三世と息子が、墓参りに来てくれる日。
よちよち歩きができるようになったアカツキが、花をつんで墓にそえてくれた。
「パパ、いっぱい眠ってね」
「パパ、大好きよ~」
花輪が墓にかかる。
ミヤビ・ロクウィル、ここに眠る。
俺の墓に刻んだ最後の言葉で、しめようかと思う。
【最高の旅路だった。
この場所を旭ヶ丘と名付ける】
【日記系小説:旭ヶ丘シリーズ 最終回第13話】
ーおわりー
ーさつきの空想物書きブログー