先日のブログ

「司法試験と公認会計士試験」で

会社法(企業法)で

司法試験の書き方では

得点が伸びない可能性について書いた

 

 

会計士試験の平成30年企業法の問題

第2問の問題1では組織再編行為に関して

「その後まもなく、本件総会決議が行われたことを知ったAは、乙会社に本件合併の実施を断念させたいと考えている。本件合併契約の効力発生前の段階において、Aが会社法に基づいて取りうる最も効果的な法的手段を説明しなさい」とある。

 

出題の趣旨によれば

合併の差止めについて記述することが求められている。

 

確かに、差止めは頭に浮かぶが

株主総会決議の取消しがなされていない時点では

取消事由が存在するだけで法令違反といえるのか

という問題がある。

 

取消事由の存在が法令違反の要件を充足するという説もあるが、

そうではなく取消判決が確定しない限り

決議は有効で法令違反とはならないという論者もおり

争いがあるというのが

司法試験受験者の知識というか

もし、同様の出題をされたら

そこにまで思いを馳せる必要があると思われる

(ここら辺は受験すらしていない僕の適当な主観である)

 

*僕が教科書をみた限り

どちらの説が支配的だといえるまでには

はっきりしているようには思わない

(大御所が法令違反でいけるとはいっているが)


取消判決が確定しない限り法令違反ではない立場をとると

会計士の企業法の解答の際に大きな問題が発生する

 

解答欄が足りないのである。

もし、差止めではなく、

取消決議の訴えの路線で行くと

司法試験的には

フルで回答するなら差止めの仮処分まで書くことになる

(多分)

 

 

 

でも、解答欄的に無理だと思う。

書ける分量が指定されているから制約があるのだ

 

結局、消去法でスッキリ差止請求に落ち着くので

別に無理ゲーではないが

頭の中はスッキリしないかもしれない。

知識がある故に、

企業法の試験だからこの説を取らないといけない

という誘導に無理やりのせられるからである。

 

かといって会計士の受験者に仮処分まで要求するのは

鬼畜というものであろう。

民事保全法までは流石にやりすぎだからである。

 

仮に、会計士試験で求められる

妥当な解答というのが差止めならば

それは、どうやって、というか誰が判断するのだろう

 

試験作成者はちゃんと会社法の教授が担当しているから

争いがあることはわかっているはずである

 

こうなると、会計士試験に求められる

妥当な説あるいは無難な説というのが

実は暗黙に決まっているのかもしれない。

 

 

会計士受験業界が

一斉に足並み揃えて

記述しやすい説を教材で採用すれば

それがデファクトスタンダードになり

 

法学系の教授、少なくとも

会計士受験者よりも司法試験受験者と接する機会の多い教授も

そのスタンダードを採用する必要に迫られるのではないか

 

ここら辺の歪みというか

個々の試験特有の溝というのは

過去問等を解かないと

わからない

 

そもそも、

司法試験も会計士試験も

両方受ける人間が少ないということを考えれば

あまり気にしないでいいことかもしれない

 

でも、20代前半で

両方の試験に受かる者が

ちらほら出てくる世の中であり

今後、弁護士の数が増えることにより

会計士試験も受ける人も必ず増えるだろう

 

司法試験に受かれば

会計士試験はかなりアドバンテージがある

そして司法試験に受かる頭なら

会計士試験も必ず受かる

(勉強時間の確保がネックになるだけだ)

 

そういう意味では

このブログも需要はあるのかもしれない

 

*会計士→司法試験

このパターンも多い

会計士つまらんから法科大学院へ等

 

会計士に受かる人も当然優秀なので

司法試験も普通に皆受かって行く

 

ただこちらのパターンの方が難易度が高い

特に独学で司法試験受験となると

弁護士→会計士パターンに比べて

全ての勉強を一からやり直さないといけないし

(会社法も一からやった方がいいだろう)

法学特有の思考に馴染む必要があるからである。

 

*この記事についても

間違ったことを書いているかもしれないので

学説等のことは各自で調べることをお勧めします。

責任はもちませんし

合格者でもない人間の知識を

鵜呑みにされないことをお願いします