数多くの基本書予備校本が出版されていますが
司法試験の学習にあたってどの教材を使用するかは悩ましいところですよね。
例えば民法でみると,
予備校本では
シケタイ(伊藤塾),呉基本シリーズ(伊藤塾),Cブック(LEC)
基本書では
全分野の一冊本として
潮見,道垣内(リーガルベイシス)、平野(エッセンシャル)
全分野のシリーズものとして
内田,山野目、リーガルクエスト,平野コア、平野レインボー、NBS,ストゥディア(2物権は未刊)
各分野ものとして
佐久間(総則,物権),道垣内(担保物権),安永(物権・担保物権),中田(債権総論)、野澤セカンドステージ(債権総論),中田(契約法)、潮見黄色2冊(債権各論)、窪田(不法行為)、家族法(窪田)などその他にも数多くの定評のある本が出版されています。
あれこれ手を広げないこと
世の中に多くの予備校本や基本書が出回りすぎていて,いったん決めた基本書があっても,読み進めるうちに一部少数説が採用されていたり、他の本で自分の本よりわかりやすく説明がなされている箇所があったり,短答の肢の情報がなかったりすると,とたんに使用している本に不安を感じ,別の本に乗り換える方がいます。
しかし,司法試験で使用教科書の浮気は厳禁です。あれこれ手を広げているうちに,結局一冊の本すら読み切ることができない,すなわち,いつまでたっても全体を一周することができないということになります。これにより,実力のつきが非常に悪くなり,合格が遅れます。
同じ民法の本でも,著者や出版社,出版社の企画の主旨によって,基本書王道型(イメージとしてはリーガルクエスト,),ケーススタディ型(イメージとしては内田,ストゥデイア)に大別され,さらに目次の配列,各項目における情報の量,議論の深さ,理由付けの長さ,自説の強調具合が異なっており,ずいぶんとカラーが異なっています。
基礎となる土台がないのに,カラーの異なる多種多様な本を読み散らかすと,消化不良をおこし,結局,なんとなく知ってるレベルから脱却できず,いつまでたっても合格ラインに届かないことになってしまいます。
決めた本を読み進める中で,決めた本の記述でよく理解が出来ない説明があったり,短答や論文の過去問を解くなかで、決めた本だけでは解決できないということは必ず生じます。
しかし,簡単にこの本だめだといって,乗り換えに走るようなことはやめましょう。
決めた本を徹底的にマスターすること
まずは,決めた本を徹底的にマスターすることで,その本の体系や目次に従った理解を頭に定着させることが決定的に重要です。
決めた本だけでは解決ができなかった、そんなことは,おそらくどの本を読んでいても,極端なことを言えばコンメンタールであったとしても起こりえます。
世の中にこれ一冊で短答も論文もOKという本は存在しないという現実を理解し,受け入れましょう。
決めた本の記述で理解できないか所があるとか,決めた本だけの情報では過去問が解けないといったときは,図書館等で他の本を参照して該当箇所について調べればよいのです。
他の本でよく理解が進んだ場合は、決めた本の該当箇所に,調べた本の名前とその本の該当ページをメモしておくのです(クロスリファレンス)。
必要とあれば,他の本から得た理解をまとめノートとして作成しておいてもよいでしょう(まとめノートが存在することも決めた本の該当箇所にメモしておきます)。
このようにして,決めた本を理解する目的で他の本も参照しているうちに,結局決めた本の理解がより一層進みます。
あくまでも,調べ終わったら,決めた本に戻ること。
調べに出て行ったきり戻ってこない(別の本の住民になっていた)ということがないよう。
必ず戻ってきてください。
こうすれば,あくまでも決めた本から離れることなく学習が進んでいきますので、結果として実力のつきが早いです。
再度強調します。
決めた本を徹底的にマスターすること!
基本的な学習スタイルを繰り返す
決めた本を理解し記憶する ⇄ 短答論文過去問を解く
決めた本を理解し記憶する。短答論文過去問を解く。
決めた本の記述で理解できないか所があるとか,決めた本だけの情報では問題が解けないということがあれば,他の本で調べる(調べるだけです。乗り換えないよう気を付けてください。)→得られた理解を決めた本の該当箇所に書き込むorまとめノートに整理する。
合格への学習はこの繰り返しにすぎません。
確実に合格に近づきます。
決めた本の達成レベル到達の具体的内容
こんな風になることをイメージして学習すると良いと思います。
木そのものや木の枝が手に取るようにわかっているというのは,次の①~③を満たすことを目標としてください。
①目次丸暗記。
②目次の各項目から該当箇所の小項目を再現できる。
③小項目に何が書いてあるか説明できる。
ここまでできて初めて,一冊つぶしたことになると思います。
基本の本の決め方
共通していえることは,法務省が出している「共通的な到達目標」(コア・カリキュラム)にそった叙述となっていることが大前提です。
その上で,上述の決めた本の達成レベルである①目次丸暗記②目次の各項目から該当箇所の小項目を再現できる③小項目に何が書いてあるか説明できる
ことが現実的に可能な本であることが必要となります。
そうすると,学者が司法試験受験生をターゲットにして執筆した本であれば,「共通的な到達目標」に沿っていますし,ほどよい分量でまとまっているものが多いと感じます。
分量でいうと,(フォントにもよりますが)おおむね500頁くらいの本ということになりましょうか。
具体的な科目別おすすめ本は各科目の基本書選びの記事で書いていきます。