経済の名言。お足と風が吹けば桶屋が儲かる | 鑑定士のブログ

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お足(お銭)、金は天下の回り物。風が吹けば桶屋が儲かる。これらは江戸時代から言われて来た言葉です。
お銭は、金が直ぐに減っていく事から、足が有るようだ。という意味でしょうし、天下の回り物は、それが又戻って来る。という、金の流れや動きを言い表した物でしょう。
風が吹けば桶屋が儲かる。これは、経済の連続性を表した名言だと、私は考えていますが、経済学という専門の学問の無い時代にも、しっかりと実体経済を知っていて、理解していたのが判ります。
世界最古の先物取引とは、大阪堂島の米取引であり、日足まで存在したそうですが、その基礎には和算という数学も有りました。
学問としてでは無く、実態を熟知した、地に足が着いた経済を実践していたのだと思います。
堂島で先物取引を成功させる為に、各地の天候に関する言い伝え等も、積極的に活用していた事でしょう。

各大名は、米の生産量が基準の石高経済から、特産品を重視する貨幣経済に次第にシフトし、その過程で、身分制度を乗り越える移動も生まれました。その好例が二宮金次郎であり、加賀騒動の大槻伝蔵でありますし、田沼意次でもあります。
名君と言われた8代吉宗ですが、彼の倹約令に逆らった尾張義直?は、当時の名古屋を大繁栄させたそうですし、それで失脚させられた事を忘れずに、名古屋人は反骨精神を強めた。とも言われていますが、松平定信の時代に『白河の清きに魚も住みかねて元の濁りの田沼恋しき』という狂歌も伝わりますから、経済的な合理性を追求し、倹約ばかりしては、経済は回転しない事を表している。という事だと思います。

現在の日本は、人件費を経費だと認識し、その削減の為に派遣法を改定し、それには大成功して、大企業の保有する資金=内部留保は莫大な金額になっています。
しかし、人件費を払う社員=人間とは、消費者でもありますから、その所得が減れば当然ながら消費は落ち込むわけで、それは当然ながら売り上げの減少になり、利益の減少にもなるわけです。
元の濁りの田沼恋しき。
これは、風が吹けば桶屋が儲かる。に繋がる言葉であり、派遣法の改悪は、企業の利益に見えて、その実では、消費の減退を生む悪法だったという事になりそうです。
同じ事は消費税にも言え、今直ぐに消費税を廃止したら、消費税率以上の消費の拡大をもたらすと思います。
また、高額所得者に対する累進課税の強化や、金融取引の利益に対する優遇課税の廃止は、高額所得者の日本離れに繋がる。と言われていますけど、私が以前提唱した『内国税』を設置し、国内の全ての取引に対しての利益に課税すれば、逃げ出した高額所得者達の国内での利益に課税できますし、利益が無い勤労者世帯には影響はありません。

何故これが出来ないか?

役人や政治家が経済の原理を知らない事と、大企業の経営者が、株主の顔色を伺い、目先の数字に拘り、自分の地位を守ろうとしたり、上に売り込む事だけが上手い人が多いかでしょう。
金は天下の回り物。庶民の手元を豊かにし、そのお金の足を早くし、尚且つ生活に不安を感じさせない。それが国の安定と成長に繋がるのです。
生活に不安が有る人間が、子供を産み育てるわけがない!のです。
これらを別々な問題として考え、議論している限り、日本には成長も安定も望めないのです。

以前書きましたが、リーマンショックの前に、ノーベル経済学賞を受賞した経済工学?理論が有りました。確か不良債権を、優良債権に紛れ混ませる事で、不良債権は危険を回避できる。という理論でしたが、結果はその理論は機能せずにリーマンショックは起きたのです。
アベノミクスの基本は、これまたトリクルダウンという経済理論でした。が、当時も疑問視されていましたが、結局は世界の何処にもトリクルダウンの成功例は無く、貧しい市民=庶民を苦しめる結果になりました。

経済学を学ぶ人達は、どうしても目先の数字に目が行く。そう経済学の先生が言っていましたが、それに対して、大局的な指示をするのが政治であり、政治家の役割です。
政治家の素養の1つとして、金は天下の回り物・風が吹けば桶屋が儲かる。という原理を理解する能力が必要だと思います。

子育て支援の問題は、お金を渡すより、所得から控除する方法の方が、公平であり効果も有ると考えています。
お金の渡す方法は、常にその方法に対するシステムが必要になり、そのシステムに経費も掛かります。支援事業で、電通が中立ちし、高額な税金を受け取っていたという報道が有りました。その流れが五輪汚職問題ですが、税金の控除なら、それは必要ありません。食費に被服費だけを考えても、その半分が控除されたら、どんなに庶民は喜ぶ事でしょうか。
これが子育て支援の根幹であり、育休やらは枝葉に過ぎません。同業の中で、所得が同じ水準なら、育休が取りやすい企業に人は集まります。
それを同じ事として議論する事が間違いなのです。

ベストイズシンプル。
これは考え方にも当てはまると私は思います。
問題の根本・根幹は何か?
それをしっかりと見つめて、先ずは根幹部分を考え尽くす事が必要だと思います。

経済を考える事は、生活だけでなく、政治にも繋がりますから、しっかりと皆様とご一緒に考えたいと思います。