cats&docksapplause【ヤンキー】 | 猫さまと犬どのの読書日和

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【ヤンキー】

 

黒猫犬猫犬「どうも〜、にゃんことわんこで拍手喝采! cats&docksapplauseです!」

犬犬「GWが終って、皆さん5月病なんかにはなっていませんか? 環境が変わって緊張の糸が切れるこの時期にドロップアウトしてしまう人とか出てくるんですよね。でもね、ここはグッと堪えてほしいわけです。今は疲れなんかもあって、冷静じゃない可能性があるわけですから……」

黒猫猫「ああ、思い出すなぁ……」

犬犬「いきなりなんですか?」

黒猫猫「私も昔、悪やってた時代があるんだけど、そのきっかけも5月頃からだったわ」

犬犬「悪やってたって、ヤンキーとかだったんですか?」

黒猫猫「まあね、高校の時に、ちょっとね」

犬犬「意外ですね。そんな過去があったなんて」

黒猫猫「制服も改造したりしてさ。刺繍入れたり、スカートはくるぶしまでのロングにしたりしてたっけ」

犬犬「ずいぶん昔風のヤンキーですね」

黒猫猫「カバンには教科書入れずに、鉄板入れて登校してさ」

犬犬「……何のために? えっ? 体鍛えるため?」

黒猫猫「そのころは私も尖っていたから、なりふり構わずケンカ売ってたわ」

犬犬「思いがけずストロングスタイルのヤンキーですね。それなのにしっかり学校行くんだ」

黒猫猫「まあ、私、学校の頭だったし?」

犬犬「なぜ疑問形?」

黒猫猫「あたしがみんなを守ってやんないとね、他校の奴に舐められるわけにいかないじゃん?」

犬犬「もし、他校のヤンキーとかと出会ったらどうしていたんですか?」

黒猫猫「再現してあげるよ、他校のヤンキー役やって。イカれた感じで向こうから歩いてきてくれる?」

犬犬「イカれた感じ? まるでわからないですけど、歩いていけばいいんですね」

 

犬と猫、二手に分かれ、向かい合って歩き始める。

猫、離れた位置からものすごい形相でガンを飛ばし始める。

 

犬犬「あのーすみません」

黒猫猫「何よ? まだこれから何だけど?」

犬犬「いや、そんな顔で歩いてたんですか? かなりイカれた感じだったんですけど?」

黒猫猫「もう、何言ってんの? 相手もイカれたヤンキーなんだからそんなこと気にしないの」

犬犬「イカれたって、そういうこと?」

黒猫猫「じゃあ、もう一度ね。今度は逃げんじゃねぇぞ」

犬犬「なんでサラッと脅されているんですかね?」

 

犬と猫、二手に分かれ、向かいあって歩き始める。

猫、離れた位置からものすごい形相でガンを飛ばし始める。

すれ違う時に肩がぶつかる。

 

黒猫猫「ああ? お前どこに目つけて歩いてんだよ!」

犬犬「えっと、お前こそどこに目をつけてんだよ!?」

黒猫猫「ここいらは私ら猫之宮高のシマだよ! よそモンは出ていきな!」

犬犬「すご迫力ですね、で、相手のヤンキーは当然受けて立つ?」

黒猫猫「イカれているからね、そこでタイマンよ」

犬犬「タイマン? ああ、一対一でケンカするアレですね?」

黒猫猫「まずは名乗りね。あたしは猫之宮の黒乃猫さまだ!」

犬犬「はあ……」

黒猫猫「はあ、じゃないよ、そっちも名乗るの!」

犬犬「えっ? 僕も名乗り上げるんですか? えっと、犬高の犬どのだ!」

黒猫猫「まずは小手調べに素手で殴り合い!」

 

猫、ぽこぽこと犬を叩く。犬、棒立ちのままぽこぽこ叩かれる。

 

犬犬「えっと……」

黒猫猫「まあ、もちろんそんなことじゃあ決着は付かないわけよ」

犬犬「確かにつきそうな感じじゃなかったですね」

黒猫猫「で、お互い得意の武器を使い始めるわけ」

犬犬「あーなるほど、ナイフとか、警棒とかですね?」

黒猫猫「私のダチの一人はビー玉使ってたわ」

犬犬「ビー玉?」

黒猫猫「もう一人はおはじきね」

犬犬「おはじき? なんでおもちゃ? なんでおもちゃを武器にするの?」

黒猫猫「ちなみに私はなんだと思う?」

犬犬「あ、わかった! ヨーヨーですね! これ当たりでしょ?」

黒猫猫「舐めてんの? ヨーヨーとかダサい武器使うわけないじゃん」

犬犬「ビー玉もおはじきも使うわけないものに含まれている気がするんですけど? じゃあ、何を武器にしていたんですか?」

黒猫猫「けん玉よ」

犬犬「けん玉!? えっ、ダサ!」

黒猫猫「人は私のことを『けん玉の黒』と呼んだわ」

犬犬「それ黒いけん玉使ってたんじゃなくて?」

黒猫猫「必殺技、暗黒激龍破」

犬犬「中二病感がひどい上に、どんな技なのか全く想像できない」

黒猫猫「まあ、それで他校の連中をちぎっては投げちぎっては投げしたわけ」

犬犬「けん玉で、ちぎって投げたの?」

黒猫猫「まあね。でも、そんなあたしも引退の時を迎えるの。あれは猫坂高の白井との決闘の時だった」

犬犬「もしかして勝負に負けたんですか?」

黒猫猫「勝負には勝ったけど、相棒であるけん玉の糸が切れてしまったの」

犬犬「……それ、また結べばいいよね?」

黒猫猫「それまで多くの猛者をちぎっては投げ、激戦をともにくぐり抜けてきた戦友だったのに」

犬犬「たぶんだけど、ちぎって投げていたら初日に糸は切れると思うんだけど」

黒猫猫「戦うことができなくなったヤンキーはもうヤンキーではないわ」

犬犬「そのヤンキー像はだいぶ間違っていると思うけど、そこで引退したんですか?」

黒猫猫「そうね」

犬犬「ちなみに、その最後に戦ったっている白井さんとはその後どうなったんですか? 恨みを買ったりとかしないんですか?」

黒猫猫「えっ? まさか、ついこの前も一緒に遊びにいったよ?」

犬犬「えっ? 自分を引退に追いやった相手と? 今でも付き合いがあって、一緒に遊びに?」

黒猫猫「だって、戦いが終わったら仲間になるのが普通でしょ?」

犬犬「少年誌のヤンキーマンガか! もういいよ!」