【擬音】
猫犬「どうもこんにちは、猫犬コンビのcats&docksapplauseです!」
犬「僕ね、最近美味しい焼き菓子のお店を見つけましてね。今日はそこのクッキー持ってきたんですよ」
猫「へぇ、クッキーですか。いいですね、クッキーは焼き菓子の女王様です」
犬「それ、ちなみに王様はなんですか?」
猫「ビスケット」
犬「それ同じものだけどね。アメリカではクッキー、イギリスではビスケットっていうだけで同じものなんだけど」
猫「私、英国育ちなもので」
犬「初耳なんだけど、絶妙にウザいな。まあいいや、じゃあビスケットってことでどうぞ」
猫「ふむふむ、固さ、形状、香り、まさに王家の風格」
犬「そこはロイヤルとか言わないんだね。どう? 美味しいでしょ? サクサクで」
猫、ビスケットを食べてみる。
猫「うん、ああいいですね、バターのいい香り、口のなかでボロボロ崩れていきますね。喉を通っていくズルズル感も素晴らしい」
犬「ちょ、ちょっと待って。何その擬音、全然美味しそうじゃないんだけど?」
猫「いや、美味しいよ? 香ばしい香りのビスケットが、歯ざわりよく崩れていって、喉越しも心地良いね」
犬「ビスケットはどんな食感だったの?」
猫「ボロボロ?」
犬「いやいや! ボロボロって! 壊れかけの感じがしない? ビスケットボロボロいう人はじめて会ったわ」
猫「えっ? そう? だってビスケット食べながらボロボロこぼすって言ったりするでしょ?」
犬「それ、美味しい時の表現じゃないよ! 迷惑な時の表現ね! 口のなかでボロボロとか言わないほうがいいよ! それとなんて言ってたっけ? ズルズルだっけ?」
猫「喉越しね、こう喉を通っていく感じが心地いいの、ズルズルしていてね」
犬「喉をズルズルって何よ、何を食べているのよ?」
猫「ビスケットだけど、あ、Biscuitだけど」
犬「言い方変えんな、普通にウザいわ。喉をズルズルとか言わないでしょ? ズルズルは何か長いものとかを引きずっているイメージなんだけど? 喉をズルズル行ってたら喉が詰まるわ」
猫「いやいや、言うでしょ。じゃあ、喉を通る時の表現はどうしたらいいの?」
犬「喉を通る時は……ゴックンだよ!」
猫「それどんな感じ? 飲み込んだ時の音でしょ? 美味しさとか関係ないじゃん」
犬「ズルズルはもっとないわ! あなたね、ちょっと擬音の使い方おかしいよ? ちょっともう一回食べて見てもらえる?」
猫「でも、もうビスケットないでしょう?」
犬「じゃあ、このサブレを食べてみてよ」
猫「(もぐもぐ)うん、ああ、このサブレは、サクサクの歯ざわりに、口のなかでほどよく溶けて無くなっていくね」
犬「って、サブレはサクサクなんか!?」
猫「だって、サブレとビスケットは違うものでしょ?」
犬「違いがわからねぇわ、もういいよ!」
了