彼が助かる事はなかった。



身近な人が自殺をすると
残された人間たちは 皆、自分を責める。


なぜ助けることができなかったのか
なにかできる事があったんじゃないのか
と、責め続ける…
それぞれの立場で責め続けるのだ


職場で公表したのは心不全。
自殺という事を知ってるのは
ごく一部だった。


真実を知っている人たちは
自分を責めながら 日々を重ねていく。
それを過ぎると、私は
自殺を選んだ人に対して
怒りが湧いてきた時期もあったのだった。


そりゃ アンタはいいよね!
全部投げ出して死んじゃったんだから!
直前まで 関わってきた私たちは
どーすりゃいいのさ!
子供はどうするのよ!

と。


本当に本当に苦しかった。
心ここにあらず
な日々を過ごしていたように思う。


でも、さらに時間が過ぎると
今 私は苦しく思うが、
彼はその何倍も何百倍も苦しかったんだよな
と思う事ができるようになった。

死んだらダメじゃん
あんたが可愛がってた子供は
あれから日に日に可愛いくなってたんだよ。
死 は、なにも解決しないのに。





あれから相当な月日が過ぎた。
今は振り返ることができるようになった。



彼の奥さんのその後は知らない。