通勤途中の庭先に咲く梅の花。

通い詰めた約20年間、春の訪れを静かに知らせてくれていた。


ある日、その住宅の解体が始まり、梅の木も突然切られてしまった。

もう来年は咲かない。



当たり前にあると思っていた景色は、ある日突然なくなる。

人も同じなのかもしれない。

いつもそこにいてくれることが当たり前になり、その存在への感謝を忘れてしまう。

失って初めて、その人がどれほど心を支えてくれていたのかに気づく。



梅の木はなくなった。

それでも春になると、心の中には今もあの梅の花が咲く。

お世話になった人たちもまた、姿は変わっても心の中に生き続けている。



ちょうどその頃、自分も定年を迎え、再雇用という新しい立場になった。

一つの区切りと、一つの始まり。

切られた梅の木を見ながら、終わりではなく、新しい季節への再スタートなのだと感じた。



新しい場所で、自分らしい花を咲かせればいい。




この梅の花はもう見れないけれど( ;  ; )