息子の引越し
息子が住んでいたアパートが区画整理のため、取り壊しになりました。
アパートの跡に道路が出来るそうです。そのためにあちこち探したアパートは、隣の市
に決まりました。
息子曰く”税金や、水道も随分安いんだよ”
車で5~6分のところですから、違和感もありません。
しかし、引越しの荷物のかたずけがたいへんです。
土曜日のゴミの回収の場所にゴミを捨てにいくと、
あちら、こちらの男の人達が集まってきました。
”たいへんですね~”
”そうなんですよ””少ないと思っていたら、意外と荷物ってあるもん
ですね~”
”うちも8月中に市から移動してくれ”って言われてるんですよ。
隣の男性も、”うちも今年中になんとかしろ”っていわれてますよ。
荷物の整理を考えると億劫で、おっくうで。”
”私の娘は、30過ぎになるのに、弾かないピアノを持っていくんだと
いうんですよ”
でも、それは、もって行ったほうが娘さんのためにいいんじゃないんですか?
”引越し荷物ばっかりで大変ですよ”
”押入れの中は、ほとんど使わないものばっかりですよ。”
なんとなく、おとこの悲哀を感じるような井戸端会議になりました。
”うちなんか食器がいっぱいあるのに、使うのは、ほんの一握りです
よ”
托鉢のお坊さんじゃないですが、ご飯茶碗に、味噌汁椀におかずの
一皿があれば、充分ですよ。”
ほんとに、家の中は、使わないものであふれています。
ちょっとの間夢中になったぶら下がり健康器ではないですが、
ブームが去ると、あっという間に無用の長物になってしまいます。
お値段が張れば張るほど、捨てるに捨てられず、場所だけとって、
家人からは、うとまれて、ひどい陰口をたたかれているのです。
そうかといって、かっとなって、全てのものを捨て去る勇気もありませ
ん。
”全部すてると、寂しいことになりますしね”
と、誰かさんが言いました。
息子は、葛藤のハザマにいるらしく、荷物の整理がちっとも進みません
捨てるに捨てられず、かといって持っていくと場所をとって邪魔になり
そうだ。と、ぶつぶつ言いながら、荷物の整理をしています。
蓮の葉に一粒の雨のしずく、心を満たす潤いがひとつでもあれば、
じゅうぶんなのではないでしょうか?
