相続人がまったくいない場合(相続人不存在)、
最終的には故人の遺産は国庫へ帰属します。
国庫へ帰属するには家庭裁判所での手続きが必要です。
手続きはざっと次のとおりです。
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まずは、
家庭裁判所へ相続財産管理人の選任の申立を行います。
故人(被相続人)の相続財産を管理する相続財産管理人が選任されると具体的な相続財産の清算手続きの開始です。
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たとえば、相続財産管理人は、
相続人がいれば名乗り出るよう官報公告を行います。
さらに別の官報公告では、
被相続人にお金を貸していた債権者がいれば申出るよう促し、
債権者が出てくれば相続財産管理人が相続財産から清算を行います。
定められた期間に相続人が現れなければ、晴れて相続人不存在が確定。
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相続人不存在の確定後、
生前に被相続人と特別な縁故がある人(特別縁故者)は相続財産を分与してほしい、と申立ることができます。
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた内縁の妻や、被相続人の療養看護に勤めていた方のことですが、
家庭裁判所が分与の相当性を審査して判断するので、必ずしも生計を同じであるからといって財産が分与されるとは限りません。
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特別縁故者がいないくても遺産の共有者がいれば、財産の持分はその共有者に承継されることになります。
たとえば、不動産を被相続人と第三者が共有しているような場合です。
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債権者へ清算後も残余財産がある。
相続人も特別縁故者も不存在。
特別縁故者がいても財産の分与が認められない。
そして共有者もいない。
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そのような場合にようやく財産は、
相続財産管理人から「国庫」へ引継がれます。
ここまでの手続きにかかる期間は最短でも13か月以上。
なかなか大変な手続きでしょ。
時間と労力はかかりますが、
相続人がいない場合、
最終的に国庫へ帰属する手続きは法律で用意されています。
ですが、
現実には遺産が国のものにならず、不動産であれば空き家のままになっていることが多くあります。
次回のブログでは、実務の現状や問題点をお話いたします。
次回もお楽しみに。