こんにちは!
司法書士の国本美津子です。
昨日のブログ「相続が始まる前に「相続を放棄します」という念書は有効?無効?」の続きです。
長年付き合いのない長男に「将来、父の相続の際には相続を放棄する」という念書をもらっていた父。
しかし、相続前に相続放棄の書面を書いても法的には無効です。
そのことを知った父はどうしたでしょうか??
父は遺言書を書くことにしました。
内容は「私が亡くなれば、全財産を妻と長女へ2分の1づつ相続させる」というとてもシンプルなものです。
父は、「長男は相続放棄する書面の通り、相続権を主張はしないはず。」
そう信じていらっしゃいました。
でも、もしその長男が父より先に亡くなると
長男の子供たち、つまり孫が相続人として登場してきます。
*父が亡くなる前に子が先に亡くなると、孫がその子に代わって相続人になります。これを「代襲相続」といいます。
孫たちにとっては付き合いのない祖父の相続。
たとえ長男が生前に相続放棄をする書面を書いていても
「法的に無効な書面を書いただけ」
「孫として相続人となったのなら、相続を放棄をするか遺産をもらうか自由に決めさせてもらうよ」
というかもしれません。
もしそうなると、残された妻と長女が会ったことのない孫たちと
相続人として遺産の分配について話合いをすることになります。
一緒に育った子供どうしでも「争続」になってしまう「相続」。
ましてや相続で初めて会うことになる相続人たちなら、一層争いの可能性が出てきます。
自分の死がきっかけで残された家族が争いに巻き込まれるのではないか、
孫たちにとっても決して幸せなことではないはず。
そのことを懸念されて遺言書を書くことにされたのです。
今、その遺言書作成のお手伝いをさせていただいています。
父の家族への思いが伝わりますように。