みなさん、こんにちわ。

司法書士の 国本美津子です。

先日、80歳になられる男性からこんなご相談をお受けしました。

 

男性には子供が2人います。1人は先妻との間にできた長男。

その後、再婚をして長女が生まれました。

 

長男が子供のころに男性が先妻と離婚をし長男は先妻に育てられたため、

長男は父である男性と母が違う妹とはほとんど交流がありませんでした。

 

10年程前、男性は自分が亡くなった後、

相続人となる妻と長女が、面識のないもう一人の相続人である長男と

相続で争いにならないかと心配になり、

 

永年付き合いがなかった長男に連絡をとって、

 

『父である自分が亡くなった際には、遺産をもらうことを放棄してほしい。

代わりに、今、まとまったお金と自宅以外の土地を生前贈与で渡しておく。』

 

そう言って、いくらかの現金と土地を長男へ生前贈与で渡すことにしました。

 

長男も父の申出を受け入りて、

将来男性が亡くなっても相続人として遺産はもらわないことを約束し、

「父の相続の際に、相続放棄する」という念書を自筆で書き男性に渡しました。

 

そして今回、長男の「相続放棄を行う旨の念書」がはたして有効かどうか心配になった男性が、事務所にご相談に来られたのです。

 

みなさん、この念書どう思われますか?

 

 

◆相続が始まる前に「相続を放棄」する念書は有効?無効?

 

相続放棄をすると相続人としての地位を失い遺産を相続できません。

 

相続放棄を行うには2つの条件を満たす必要があります。

 

1つ目は、家庭裁判所へ相続放棄の申立てを行うこと。

2つ目は、原則、相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3ヶ月以内に申立てること。

 

つまり、相続が始まる前に相続放棄をすることはできない」、という事になります。

 

さらに、家庭裁判所へ申立てを行う必要がありますので、

たとえ相続開始後であっても、

自ら書面で相続放棄を行う旨を記載しても有効になりません。

 

今回の男性の場合、

 

男性が将来亡くなり、相続人である長男が相続開始後に家庭裁判所へ相続放棄の申立てを行わない限り、相続人として遺産をもらう権利がある、ということになります。

 

 

日常の生活では相続の法律を知ることはあまりありません。

相続の対策を取る際には、専門家と相談しながら進めていきたいものですね。

 

ご相談に来られた男性は、長男に相続権があることを知って悩まれました。

そこで男性がとった対策は。。。。。

 

それはまた次回お伝えいたします!

次回もお楽しみに!