最近暖かくいい天気が続き、少し元気が出てきた大阪吹田の司法書士・社会保険労務士・行政書士の伊藤貴胤です。今年の夏は久々に海に行きたい。

 年のせいか更新停滞中です。老害と言われないように気をつけたい。ということで久々の更新。

 連絡が取れない相続人がいても、連絡が取れない相続人を除外して、やり取り可能な相続人だけで遺産分割協議を進めることは法律的には認められません。法定相続人が全員参加しない遺産分割協議は無効になってしまいます。遺産分割協議が無効だと、一切の相続手続きを進めることができなくなります。たとえ連絡が取れない相続人がいる場合でも、相続手続きをするためには、法定相続人が全員そろって遺産分割協議をすることが必要です。

 まずは、相続人の住所地を調査しましょう。通常、人は住民票のある場所に住んでいるので現在住民票が置かれている場所を確認できれば、連絡を取れる可能性があります。住所地は、その人の「戸籍附票」をみたらわかります。相手の住所がわかったら、手紙で連絡を入れてみましょう。相手からの返答があれば、そのまま相続手続きを進められます。

(相手と連絡とれない場合)
 手紙を送っても相手から返答もなく、手紙も無視し続けられるような場合はどうする
か。住所地に一度実際に訪問してみるのも一つの手ですが、それでも相手がつかまらない場合、家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てて話し合いを進めるしかありません。調停を申し立てると、家庭裁判所から相手の住所地に呼び出し状を送ってくれます。そのため、自分で相手に連絡を取る必要はありません。調停でも話し合いが成立しない場合には「遺産分割審判」となって、裁判所が遺産分割の方法を決定します。

(行方不明の相続人がいる場合)
 相続人のうち一部の人の居場所がわからず連絡が取れない場合には、どのようにして相続手続きを進めたら良いのか。住所地を特定しても、その場所に居住していないケースもあります。このように、本当に「行方不明者」となって連絡が取れないのであれば「不在者財産管理人」という制度(不在者財産管理人の選任申立)を利用しましょう。不在者財産管理人とは、財産管理人を置かずに行方不明になっている場合において、本人の代わりに財産管理をする人を選任する手続きです。 共同相続人であれば、利害関係人として不在者財産管理人の選任申し立てをすることが可能です。不在者財産管理人になれるのは、相続に利害関係を持たない被相続人の親族や、原則弁護士さんです(一部司法書士がなるケースもあるようですが、あまり多くはありません)。共同相続人が自ら不在者財産管理人になることはできません。不在者財産管理人の選任申し立ては、不在者の最終の住所地のある家庭裁判所で行います。

(相続人が生死不明の場合)
 連絡が取れない相続人が生死不明の状況が7年以上経過しているなら「失踪宣告」ができます。失踪宣告とは、長期にわたって行方不明になっている人について「死亡した」と同様の扱いにする手続きです。普通失踪の場合、7年間生死不明であれば申し立てができます。失踪宣告が行われると、その相続人は「死亡した」扱いとなるので、遺産分割協議に参加なくて済むことになります。もし、失踪宣告を受けた者に相続人がいれば、その相続人を参加させなければなりません。

 最近連絡取れないケースの相続案件が増えていますが、相続人の中に連絡が取れない人がいると、どうしても相続手続きがとても煩雑で大変です。相続登記の義務化の法律も始まり、そのままにしておくのも不利益が生じる可能性もあります。そんな時は一度専門家に相談してみて下さい。

それでは皆様、素敵な週末を。