現代社会では、個人の具体的な利益の実現が他人によって妨害されたり、すでに実現している利益が他人によって侵害されて個人がその利益を十分に享受できない場合、個人は司法判断によって妨害の排除や侵害された利益の回復を求めることができます。

 

裁判所が妨害の排除または利益の回復を決定した場合、国家権力(強制力)が妨害の排除または利益の回復を実現することになります。


このような国家権力の強制力による保護(法的保護)を得るために訴訟を起こす権利を「訴権」といいます。このような保護(法的保護)を国家の強制力によって得るために訴訟を起こす権利を「訴訟権」といいます。
 

権利が、個人が主張する社会的に認められた法的保護に値する利益であるとすれば、権利者による権利(利益)の主張に対して、相手の権利が認められる場合には、その利益の主張を実現するためにとらなければならない行動が義務であるといえます。
 

また、権利には必ず義務が伴います。

 

そして、私的法律関係は、常に権利と義務の関係として構成されています。
 

もし、近代社会における個人間の法律関係が権利と義務の関係であるとすれば、近代法は「義務」のシステムとして構成されうるのに、なぜ「権利」のシステムとして構成されているのでしょうか。

 

私的所有権の法的表現である所有権は、近代法において最も重要な権利であり(憲法29条)、したがって、近代法は、所有権を中心とした権利の体系として構成されなければならないと思われます。