国際私法の勉強法 | 太郎の弁護士ブログ

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大阪の弁護士です(68期)
平成26年度司法試験の再現答案掲載(二桁順位)
受験生のための記事を書いていましたが、途中から日々の雑感ブログになりました。
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国際私法については、基本書は松岡博先生の「国際関係私法入門」を使っていました。
サブテキストとして、辰巳出版の、「一冊だけで国際私法」という本を使っていました。
演習は過去問と上位合格答案です。


①国際関係私法入門について
司法試験との関係では、個人的にはこの本一冊で足りると思っています。しかし、十分かと聞かれれば、十分ではないと言わざるを得ません。
この本は、基本的には通説・反対説等の結論を並べただけで、なぜ見解が分かれるのかについてはあまり示してくれていません。また、論点についても網羅されてはいません。
そのため、授業や判例百選で補う必要があります。
もっとも、上位合格を目指さない限りは、この本の知識だけでも足りると思っています。
(僕も判例百選は買ったもののほとんど見ていませんでした。今年の司法試験で未知の論点がでて、後から調べたら百選に載っていた論点のようでしたが、現場思考でなんとかなりました。)


②一冊だけで国際私法

この本は、よくまとまっていますし、直前期の知識の整理にはとても使える本なのですが、これ一冊だけでは厳しいと思います。厳しいというか、明らか足りません。
ですので、僕は、松岡先生の国際関係私法入門の内容を、一冊だけで国際私法に書き込みまくり、直前期に見返すためのまとめ教材にしていました。


③演習の仕方
国際私法は、あまり演習書がありません。しかし、過去問を解けばそれで十分だと思われます。
上位合格答案や出題の趣旨を見てもらえれば分かると思いますが、国際私法の採点基準はかなり独特なようです。他の科目は、試験対策として点数を狙いに行く答案の書き方というのはしなかったのですが、この科目だけは点数を意識した答案を書きました。
それくらい、採点基準が独特なのです。
具体的に言えば、事例の解決には直接に関係ない、他の関連条文についても、点数が振ってあるのです(ですので、関連条文の適用がない場合でも、適用がない旨を書かなければなりません)。また、条文を適用するに当たっては、適用する前に、適用条文の趣旨や他の条文との関係などをネチネチ書かないと点数になりません。

ですので、これらを意識しながら過去問演習を繰り返すといいと思います。


④勉強の仕方
基本書を読むときには、条文の趣旨を答案に書けるようにまとめて、それを全て暗記する必要があります。他の科目なら、必ずしも趣旨を説明する必要がないのですが、国際私法では、出てきた条文は全て趣旨と関連条文との関係を書いてあげる必要があるようです。
さらに、具体的な単位法律関係の範囲をしっかりと抑える必要があります。これを押さえておかないと、適用条文を間違えて議論が明後日の方向に向かってしまうことになりかねません。
あとは個々の条文の仕組みと、他の条文との関係をしっかりと理解し、議論が分かれているときにはしっかりとそれぞれの説について理由づけまで押さえておく必要があります。(おさえておく説は、基本的には通説と反対説を一つずつでいいと思いますが、場合によっては3つほど説をおさえていたほうがいい場合もあります)

あと、国際私法は判例が少ない分、基本書等に出てきた判例についてはしっかりと押さえておく必要があります。


思いつくところとしてはこんなところですかね。
国際私法は範囲が狭いのですが、判例も少なく、議論が成熟していないため、なかなか理解が難しい科目です。また、思考形式も独特のものがあります。

しかし、①法性決定②連結点の確定③準拠法の特定④準拠法の適用の枠組みをしっかりと理解し、目の前の議論が、①~④のどのレベルの議論なのかを意識して勉強すれば、十分に合格レベルにはなると思います。

あとはしっかりと条文を見ることです。国際取引法も、めんどくさがらずに、ちゃんと条文を引きましょう!条文さえ読めたら正解できる問題も多いです。