愛知県蟹江町で2009年5月、会社員山田喜保子さん(当時57歳)ら親子3人を殺傷したなどとして、強盗殺人、強盗殺人未遂などの罪に問われた中国籍の元三重大留学生、林振華被告(31)の裁判員裁判の判決で、名古屋地裁は20日、求刑通り死刑を言い渡した。
松田俊哉裁判長は「強固な犯意に基づく冷酷な犯行で、極刑を回避する特別な事情はない」と述べた。弁護側は控訴する方針。
判決によると、林被告は09年5月1日夜、金品を盗みに入った山田さん方で、山田さんをモンキーレンチで殴って殺害し、次男の雅樹さん(当時26歳)を包丁で刺殺。その後に帰宅した三男(30)もナイフで刺して負傷させ、現金約20万円などを奪った。
公判で弁護側は「強盗の意図はなかった」として殺人罪と窃盗罪の適用を主張。確定的殺意もなかったとして死刑回避を求めていた。
しかし、松田裁判長は「当初は窃盗目的だったが、途中で強盗の犯意が生じた」としたうえで、犯行状況から、「確定的な殺意があった」と認定。「公判で不合理な弁解を繰り返し、反省も真摯(しんし)なものとは認めがたい」とした。