ウクライナ情勢 「停戦」暗雲、重火器撤去期限も双方が拒否 | 国際そのほか速

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 【モスクワ=黒川信雄】15日に停戦が発効したウクライナ東部の紛争は17日、親ロシア派武装勢力が東部の要衝デバリツェボの大半を制圧したと発表した。インタファクス通信が報じた。ウクライナ大統領府高官は同日、親露派と後ろ盾のロシアが「停戦合意を履行していない」と非難し、停戦合意は早くも崩壊の危機を迎えつつある。

 インタファクス通信によれば、親露派勢力はデバリツェボで6千~8千人のウクライナ軍部隊を包囲し、警察署や鉄道駅など市中心部の重要施設を占領したという。親露派はウクライナ軍に多数の死傷者が出たとしている。

 親露派はまた、デバリツェボでウクライナ軍兵士300人が投降したと発表、残りの兵士に対しても武器を捨てて撤退するよう要求した。ウクライナ軍当局は17日、デバリツェボの一部が占領されたことは認めつつ、兵士が大量に投降した事実はないとし、撤退拒否の姿勢を強調した。また、前日から兵士5人が死亡したことを明らかにした。

 現地では17日午前0時(日本時間同7時)、ウクライナ軍と親露派が停戦合意に基づき前線から重火器撤去を開始する期限を迎えた。親露派は重火器の一部を後方に移したと主張しているが、ウクライナ側は確認していない。

 ウクライナ軍と親露派の双方とも、停戦が守られていない状況では重火器を一方的に撤去することはできないと主張しており、両者が重火器の撤去に本格的に着手する前に戦闘が再び激化する恐れも出ている。