安倍晋三首相は16日の衆院本会議で、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定に強い意欲を示した。「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とすることが重要だ。具体的なニーズが発生してから改めて立法措置を行う考え方は取らない」と述べた。首相は5日の参院予算委員会でも「(特別措置法では)ただちに対応できない場合がある」と述べていたが、さらに積極姿勢を示した。
集団的自衛権行使の判断基準となる「武力行使の新3要件」を満たす可能性のある事例として、邦人を輸送中の米艦の防護と日本への原油輸送ルートとなっているホルムズ海峡での機雷除去に言及。「武力攻撃を受けた場合と同様な重大な被害が及ぶことが明らかな状況にあたりうる」と指摘した。
また、自衛隊の国際貢献に関しては「国際社会はわが国の国力にふさわしい形で積極的な役割を果たすことを期待している。自衛隊にはより一層の役割を担ってもらう必要がある」と述べた。
憲法改正については「(国会の)憲法審査会でしっかりとした議論を行い、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について国民的な議論をさらに深めていきたい」と表明。「議論の深まりを踏まえて着実に憲法改革に取り組んでいく」と述べ、決意を示した。
また首相がインタビューで「(現行憲法は)GHQ(連合国軍総司令部)が国際法も全く素人の人たちが短期間で作り上げた」と発言したことに、民主党の岡田克也代表が「暴言」と批判したことに対しては「戦後の占領下において原案が連合国軍総司令部によって短期間に作成されたものであるとの事実を述べたものにすぎない」と反論。「安倍内閣は憲法を厳に順守している」と強調した。
今夏に示す戦後70年の首相談話については「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、それを前提に作成する。具体的な内容は有識者の意見を聞きながら政府として検討していく」と語った。
農協と農業委員会、農業生産法人の一体的な改革の断行に強い意欲を示し、「政策を総動員して改革を進め、強い農業がつくられていけば、農業・農村全体の所得も増えていくと確信している」と訴えた。