
前回の記事では、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいことをまずは3つ紹介しました。
引き続き今回は、4:叱咤激励はマイナスと心得る、5:苦しみを過小評価しない、6:むやみにアドバイスしない、という3点を見ていきましょう。
■4:叱咤激励はマイナスと心得る
愛しているからこそ、厳しく接するほうが、相手のためになるのではないかと考えている人も少なくありません。
たとえば、わざと相手に非寛容になったり、距離を置いたり、沈黙してみたり、冷淡になったり、あるいは「とっとと立ち直らないと別れるからね」などと最後通牒を突きつけたり……。
たしかに、弱音を吐いた男性を甘えさせるのではなく、敢えて「しっかりしなさい!」と尻をたたく肝っ玉女房のほうが、男を成長させるアゲマンということもあります。
しかし、うつ病の人にとって、こうした態度は無意味・有害でしかありません。がん患者の人に何ら治療を施さず、「気合いで治せ」と言っているようなものです。
前回の記事でも述べましたが、うつ病は決して考え方や気の持ちようが原因ではありません。相手を立ち直らせたいという善意であっても、むやみに叱咤激励することは避けてください。
■5:苦しみを過小評価しない
うつ病の人がちょっとしたことで涙ぐんだり、悲観的なことばかり口走ったりするのを見ると、健康な人は「一体全体なにがそんなに辛いわけ?」と理解に苦しむかもしれません。
しかし、あなたの物差しでうつ病の人を判断することは避けるべきです。たとえば、「あなたは神経過敏すぎるのよ」とか「なんでそんな小さなことでクヨクヨするの?」といった発言は、相手の面目をまるつぶしにするだけでしょう。
うつ病は、甘えや性格の問題ではありません。相手の苦しみを評価するのではなく、ただ“この人は今すごく苦しんでいるのだ”という事実だけをどうか受け止めてあげてください。
■6:むやみにアドバイスしない
愛する人に何か役立つことをアドバイスしたいというのは自然な感情です。とりわけ、相手が何か大変な目に遭っているときには、その苦しみを少しでも取り除いてやりたいと思うことでしょう。
しかし、「●●したほうがいいよ」といったアドバイスをうつ病の人にすることについて、心理学者のデボラ・セラーニ氏は警鐘を鳴らしています。
「うつ病の人が助けを必要としているのはたしかですが、安易なアドバイスは禁物です。それによって、彼らは自尊心が傷ついたり、自分のことをダメ人間だと感じたりして、余計に心を閉ざすおそれがあります」
「●●したほうがいいよ」と相手の行動を促すのではなく、「何か私にできることない?」と声をかけるほうが、うつ病の人にとって救いになるでしょう。そうすることで、相手が助けを求めやすくなるからです。
ただでさえ、心のエネルギーが消耗しているうつ病の人にとって、アドバイスは重荷にしかなりません。人から言われなくてもそうすべきだとわかっていても、体が動かないのです。
なので、うつ病の人の行動を変えようとするよりも、相手があなたに気兼ねなく頼みごとをできる環境を作ってあげるほうが大事だといえるでしょう。
前回に引き続き、うつ病の人を支えるときに必ず知っておきたいことを3つ紹介しました。次回は残りの3つをお届けします。