
菅野美穂の「NUDITY」などの写真集で知られる写真家、宮澤正明氏が監督した日本初の4Kドキュメンタリー映画「うみやまあひだ 伊勢神宮の森から響くメッセージ」が、全国で順次公開される。伊勢神宮をテーマに、20年ごとに行われる式年遷宮や、大自然と共生してきた日本人の姿を4Kカメラの高精細な映像で表現。伊勢神宮神職や宮大工の棟梁らへのインタビューで、日本人の魂に迫っている。
2004年から10年間にわたって、伊勢神宮の写真を撮り続けた。しかし、人と森が共存共栄してきた伊勢神宮2000年の英知を表現できないという枯渇した思いがあった。
「そこに映画の話があり、森をメーンにするなら表現できるのではとひらめいたんです。山があり、森があり、きれいな川、田畑、そして海があり、水蒸気で雨が降り‥という美しい循環です」
スチルカメラのようにひとりでも撮影可能な最新の4Kカメラが大きな力となった。映画は、神宮の神域林、木曽の大檜林、白神山地といった日本各地の自然に足を踏み入れ、映し出す。「画質も想像以上で、木のしずく、岩場のしずく、本当に美しく撮れました」
インタビューには、神職をはじめ建築家、料理人など各分野から12人の専門家が登場。映画監督の北野武(68)も宇宙観を語っている。
「あまりにも皆さんの話が素晴らしく、ナレーションを一切入れないことにしたんです。見た人それぞれが自分なりの答えを出せればいい。写真とはまた違う思いが、映画で表現できました」
タレントの写真集にも「絵」としての美しさと「リアル」なドキュメンタリー性が同居する。
「僕らは身を削って生きている。自分をさらけ出しているわけで、恥ずかしい。でもそれがなければ、何も伝わらない。どんなテーマでも一緒。今、日本人は自信を失っているけれど、自然への感謝や自然から得た英知は、世界配信できるぐらい素晴らしい。伊勢で感じる自然観は、日本人の背中を押してくれるんです」
嘘偽りのない宮澤氏の視線によって、日本人の精神性が丸裸にされたような、無垢(むく)な美しさを感じる1本だ。
公開は、東京・109シネマズ二子玉川が4月下旬から、関西は大阪・MOVIX堺で公開中、京都・MOVIX京都は3月7日から。公式HPはhttp://umiyamaaida.jp/