ソフト・松坂の手取り足取り指導に「大論争」 “渦中”の佐藤義則コーチを直撃! | 国際そのほか速

国際そのほか速

国際そのほか速

ソフト・松坂の手取り足取り指導に「大論争」 “渦中”の佐藤義則コーチを直撃! 

 9年ぶりの日本球界復帰を果たしたソフトバンク・松坂大輔投手(34)=前メッツ=をめぐる論争が騒がしい。宮崎キャンプ序盤に新任の佐藤義則投手コーチ(60)が手取り足取りで投球フォーム矯正に乗り出すと、「松坂をさらし者にしている」「プライドを傷つけるやり方」と批判の火の手が燃え上がり、一方で球界の大物OBからは「8-2で(活躍は)難しい」と厳しい声があがった。実際、平成の怪物の復活は成るのか。“渦中”の佐藤コーチを直撃した。 (宮脇広久)

 ■批判の中で貫く信念

 14日に打撃投手+ブルペンで計101球。15日にもブルペンで121球を投げ込むなど、調整のピッチを上げている松坂。16日は一転、投内連係、体幹トレ、ストレッチなどで軽く汗を流すと、工藤監督から「さっさと帰れ」と促され、苦笑を浮かべながら早々と球場を後にした。

 今キャンプでは復活を目指す松坂の姿を、ファンや報道陣が追いかけている。西武新人時代の1999年に巻き起こった“怪物フィーバー”を彷彿させる状況の中、まるで新人に対するように手取り足取り指導する佐藤コーチのやり方に批判の声が上がっている。

 それでも渦中の人、佐藤コーチは「誰が見たって投げ方はよくない。本人も直したいとは思っていたが、どうしたらいいのかわからないというので、客観的にアドバイスを送っている」と揺るがない。

 日米通算164勝を誇る松坂は、右ひじを手術した2011年以降の4年間は計10勝と落ち込んだ。今キャンプ初日のキャッチボールなどは素人目に見ても右ひじが下がり、ぎこちないフォームだった。それだけに批判の矢面に立つことを覚悟で矯正に尽力しているのだ。

 ■剛速球戻るのか

 佐藤コーチは「持ち前の速球さえ戻れば群を抜く投手。最近は技巧派という印象だったものな」とみる。18歳だったプロ1年目で155キロを計測した剛速球をどこまで取り戻せるか。手術をへた34歳の右腕に可能性は残されているのか。

 「まだわからないよ。今は『良いフォームで投げること』をテーマにやっている。体が開き、腕に頼り過ぎるフォームになっている。それができなければ(復活は)ない」と言い切る。巷では4年連続2ケタ勝利の摂津らとの開幕投手争いが話題だが、松坂の現状はそれを語るレベルに達していないのだ。

 宮崎キャンプは26日まで。その間の紅白戦登板の予定はない。27日に韓国サムスンとの練習試合、28日と3月1日に楽天とのオープン戦がヤフオクドームで組まれており、この3連戦中が実戦初登板となる見込みだ。その時、フォームはどう変貌を遂げているか。

 ■伯楽と理論家の衝突はない?

 佐藤コーチは現役時代、阪急・オリックス一筋21年で通算165勝137敗48セーブ。引退後はコーチとしてオリックス、阪神、日本ハム、楽天、ソフトバンクと渡り歩いた。「北海道から福岡まで、日本一周しちゃったよ」とおどける。

 阪神では井川(現オリックス)らを育て03年のリーグ優勝に貢献。日本ハムでダルビッシュ(現レンジャーズ)、楽天で田中(現ヤンキース)を超一流の域に育て上げ、名伯楽の呼び声が高い。今季加入したソフトバンクでは、松坂の再生だけでなく若手投手の育成も期待される。

 「おれも周りから『人材豊富』と聞いているが、例えば東浜(13年ドラフト1位入団で3年目)らはなぜ結果が伸び悩んでいるのか。原因をさぐりながらじっくり観察している段階」

 だが、チームには過去の指導者経験はゼロだが投手出身で現役時代から理論家で鳴らす工藤新監督がいる。意見が衝突することはないのか。

 「何でぶつかるの。お互いに良いことを言っているなら認め合えばいいんじゃない」と佐藤コーチ。2人の理論が融合すれば鬼に金棒ではある。