安倍晋三首相は16日午後の衆院本会議での代表質問で、政府が集団的自衛権の行使を憲法解釈変更で容認したことに関し、「さらなる国民の理解を得る努力を続け、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めていく」と述べた。具体的事例として中東からの原油輸送路に当たるホルムズ海峡への機雷敷設を挙げ、日本への武力攻撃に相当し得るとして、自衛隊による掃海活動に意欲を示した。
首相はホルムズ海峡に機雷が敷設された場合の影響について「石油ショックを上回り、世界経済は大混乱に陥る。わが国に深刻なエネルギー危機が発生する」と強調。「状況を総合的に判断して、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たり得る」として、昨年7月に閣議決定した自衛権発動の新3要件に該当する可能性があるとの認識を示した。民主党の岡田克也代表への答弁。
併せて邦人輸送に当たる米艦防護も例示。「米国艦船が武力行使を受ける明確な危険がある場合」も、同様に新3要件に該当し得ると指摘した。
また、首相は米軍の後方支援などを目的とした自衛隊の海外派遣について「将来、具体的なニーズが発生してから改めて立法措置を行うという考えは取らない」と述べ、恒久法制定を目指す考えを示した。維新の党の江田憲司代表への答弁。
自民党の谷垣禎一幹事長は、憲法改正への決意をただした。首相は「新しい時代にふさわしい憲法の在り方について国民的な議論をさらに深めていきたい。この議論の深まりを踏まえ、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでいく」と語った。