
【カイロ時事】シリアで過激組織「イスラム国」が活動する中、国際社会で「アサド政権との協力は不可欠」と考える意見が目立ってきた。政権打倒を目指すシリア反体制派を支援してきた米欧も、反体制派が対イスラム国で戦果を上げられなければ、将来的に政策転換を余儀なくされる可能性も否定できない。
シリア内戦で和平仲介役を務めるデミストゥラ国連特使は13日、ウィーンでの記者会見で「アサド大統領は解決策の一部だ」と述べた。米欧に即時退陣要求を突き付けられてきたアサド氏が、今後の政権移行プロセスに参加することを容認したとも取れる発言。反体制派は、はしごを外された形で、反発を強めている。
ただ、国際社会ではイスラム国への対応や14日にデンマークで起きた銃撃事件などテロの脅威への対処が喫緊の課題となる中、シリア情勢をめぐっては「民主化」より「安定」を重視する声が高まりつつある。これまでアサド政権を支援してきたロシアやイランに加え、地域大国のエジプトも情勢安定を重視、アサド大統領の続投を容認する方向へと軸足を移した。