- 一斉にスタートするランナー(堺市西区の浜寺公園で、本社ヘリから)
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◇沿道24万人 「途切れぬ声援励み」
早春の泉州路を舞台にした15日の「第22回泉州国際市民マラソン」(実行委員会、泉州9市4町陸上競技協会主催、読売新聞社、読売テレビなど後援)には、国内外から過去最多の5255人(男性4443人、女性812人)が参加した。堺市西区の浜寺公園から、泉佐野市のりんくう公園までの42・195キロに挑み、うち4395人が完走。沿道ではボランティア約4000人を含む約24万人が温かい声援を送った。
(山崎茂、矢野彰、桑田睦子)
■好タイム
浜寺公園のスタート地点では、参加者が入念にストレッチをした後、整列。午前10時半、大会実行委員長の竹山修身・堺市長の号砲とともに、一斉に走り出した。
泉州地域各市町が、姉妹都市提携を結ぶ海外5か国から招待された選手20人も力走し、好記録が相次いだ。未登録女子の部1位に輝いたのは、泉大津市と友好都市のオーストラリア・グレータージローン市から参加したレネー・ターニャ・レーンさん(37)。「日本でのフルマラソンは初めて。温かい応援のおかげでベストタイムが出せた。また走りに戻ってきたい」と充実した表情を見せた。
同部2位の大阪市淀川区、主婦高橋利恵さん(45)は「沿道の声援が途切れず励みになった。抽選に漏れた夫の分も走ろうと思って頑張りました」。
■絆
これまで開催された21回の大会全てに出場し、完走している泉大津市消防本部の消防司令補・村井修さん(60)は万感の思いでゴールした。3月で定年退職するため、同僚31人が村井さんの口癖の「俺は俺や!」を背中に記したそろいの赤色Tシャツ姿で参加。「退職前のいい記念になった。80歳まで走るのが目標」と話し、同僚と健闘をたたえ合った。
目が不自由なランナーは伴走者と1本のひもを握り合って走った。和歌山市の野尻誠さん(40)は「30キロ地点から苦しくなり、最後のアップダウンはきつかった。自己ベスト更新はならなかったので、来年も挑戦したい」と汗をぬぐった。
■ドラマ
5時間の制限時間ぎりぎりでゴールに飛び込んだのは、堺市南区の会社員中川伸広さん(55)。マラソン挑戦は3回目で、自己記録を30分近く更新した。「完走できてよかった。『明日も仕事なんだから、ほどほどにね』と送り出してくれた妻に申し訳が立ちます」と話した。
出場者の最高齢、岸和田市の鯖田秀樹さん(79)は24キロ地点付近で基準タイムをクリアできず、無念のリタイア。マラソン歴は半世紀近くになるといい、10年ぶりにこの大会に参加した。「完走できると思っていたが、残念だ。健康のためにも走り続けたい」と雪辱を誓っていた。
◇太鼓の響き 力走後押し
- だんじり祭の太鼓でランナーを元気づける青年団のメンバー(岸和田市で)
力走を後押ししたのは、沿道の応援やボランティアの活躍だ。
中間地点に近い岸和田市の岸和田だんじり会館前。本町青年団の15人が、だんじり祭で打ち鳴らす太鼓や鉦(かね)の軽快なリズムで応援した。団長の薮大輔さん(25)は「ランナーの気持ちを盛り上げて、苦しい時に少しでも力を与えることができれば」と話した。
りんくう公園のゴール地点では、大阪体育大浪商高陸上部の生徒らが待機し、走り終えたランナーが転倒したり、接触したりしないように付き添った。2年朝田拓臣さん(17)は「年配の人たちが次々と完走してすごいと思った。近くでサポートできていい経験になった」。
一方、同公園では、マラソン大会と同時に3歳から小学3年生までの子供と親の「親子ランニング」も開かれ、2キロと1キロのコースに計約210組が参加。1キロの1位に輝いた岸和田市の小学2年島原康太朗君(7)は「お父さんに負けたくなかった」と父・宏文さん(41)を終盤に引き離してゴール。宏文さんは「本気を出したが、追い付けなかった。いつか息子と一緒にフルマラソンに挑戦したい」と目を細めていた。
泉州9市4町の特産品などを販売する物産展も行われ、参加者らでにぎわった。「水なすうどん」(貝塚市)や「シラスのかき揚げ」(忠岡町)などが並び、かき揚げを食べた貝塚市の小学3年小川彩夏さん(9)は「おいしい。親子ランで2キロを走って足が痛くなったけれど、頑張ってよかった」と話した。
- だんじり祭の太鼓でランナーを元気づける青年団のメンバー(岸和田市で)