データ予想 須田鷹雄
柔軟性◎アヴニールマルシェ
共同通信杯は、過去10年全馬を均等買いした場合の回収率が単45%、複64%で堅い重賞と言える。1、2着はすべて6番人気以内なので、穴を狙う場合は3連単の3着をひねるくらいしか方法がない。
関東馬、関西馬で言うと、特に関東馬は人気馬しか走らない傾向にある。西高東低の競馬界では「人気の関西馬+人気薄の関東馬」というイメージを抱いてしまいがちだが、このレースに限っては逆になっている。前走クラス別成績で見ると、新馬・未勝利を勝ちたての馬は過去10年で〔00015〕。人気になる馬もいなかったとはいえ、まったく馬券になっていない。500万条件組とオープン特別・重賞組の比較では後者が明らかになる。
ただ前者には「500万条件を負けてきた馬」も含まれるので、勝ってきた馬に限っては馬券に入れることも検討の価値がある。
前走オープン特別・重賞組は、その前走で6着以下だと〔00220〕。一方で3着以内だった馬は〔97413〕。
つまりこのレースは「前走オープンで3着以内だった馬」が中心で「前走500万条件を勝った馬」がときどき上位に顔を出し、その他は3着止まりか着外、という構造になっていることになる。
それゆえ先述したように堅い重賞なのだ。ちなみに前走オープン6着以下から3着に入った2頭は、いずれも前々走では好走していた馬。2度続けて大敗した馬はたとえオープンに定着していても苦しい。
今回の想定馬で前走オープン好走馬というと、◎アヴニールマルシェになる。新潟2歳Sと東スポ杯はまったくタイプの違う競馬だが、そこでいずれもタイム差無しの2着できたのは地力の表れ。若馬でありながらどんな位置取りにも対応できる柔軟性もある。今回は前走と同じコースだし、大敗はないだろう。
○は前走が重賞4着でわずかに基準を満たさないのだが、ソールインパクトを指名したい。今の中山は1年前に比べるとディープインパクト産駒でも走れる路面になっているのだが、それでも中山→東京のコース替わりはプラスだろう。キャリア4戦目までの走りなら、ここでも馬券圏内に足りてくるだろう。
▲には血統と前走の勝ちっぷりからドゥラメンテを挙げるが、書いている時点で出否未定。
回避ならデビュー2連勝の★アンビシャスを繰り上げたい。
■須田鷹雄 プロフィール
1970年東京都生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。大学在学中に競馬ライターデビュー。競馬以外のギャンブルも含めた「旅打ち」をライフワークとし、国内の全公営競技場を踏破した経験を持つ。
週刊大衆02月23日号
好調狙い馬予想 薮中泰人
2強対決はキズナの馬体が上
昨春の天皇賞で骨折、休養していたキズナがいよいよ復帰する。京都記念のお楽しみはもう一つある。ここを始動戦に選択しているハープスターだ。
頭数は少なくなりそうだが、凱旋門賞にも挑戦した2頭の対決には興味津々。仕上げも順調に進んでいる。
まずキズナは初時計が昨年暮れの17日。21日、24日、31日と坂路での乗り込みが進み、年明けも5日、8日、12日と1週ごとに負荷を強め、15日の坂路では54秒8-12秒7の時計。
翌週の21日にはCWでコース追い。7F98秒2-3F37秒8-11秒9の速い時計をマークした。28日の2週前追い切りには武豊が騎乗。7Fから行きだし97秒7、6Fからは80秒4、3Fは37秒5-11秒9で動き「息遣いがいいし、今週が競馬でもいいくらい」と主戦ジョッキーを喜ばせた。
管理する佐々木晶師も、「馬体がまた成長している。いい形で復帰戦を迎えられる」と話したが、実際、昨年よりひと回り大きく見せ、黒光りする馬体はたくましさ満点。相当なパワーアップが見てとれる。レース2週前時点でこの仕上がり。いわゆる病み上がりのイメージがまったくない。
ハープスターも仕上げが進んでいる。昨秋のJC時は仏遠征の疲れがあったのか、動きに浮ついた感じがあったが、1月17日の初時計のあと、21日、24日、28日とCWの追い切りが進むとバランスのいい走りが蘇ってきた。これが本来の姿。強いハープスターが見られそうだ。馬体の迫力からキズナを上にとるが、いずれにしてもレースは一騎打ち。たまには強い馬の本命戦があってもいいだろう。
同じ日曜日には東京で共同通信杯が行われる。関西期待ならまずダノンメジャー。暮れのホープフルSは直線で弾けず9着に終わったが、初コースの中山に戸惑いがあったか。これが実力では決してない。今回の鞍上は横山典。
昨年のワンアンドオンリーがそうだったように、ここぞの場面で橋口師が頼りにするジョッキー。広い東京で今度は弾けそうだ。
リアルスティールにも大きな期待をかけたい。暮れの阪神でデビュー勝ちしたばかりだが、バネのきいた走りはディープ産駒の一級品。騎乗した福永も「抜けだす脚が速い。モノが違う」と絶賛した大器だ。重賞メンバーでも好勝負が可能。
東京では土曜日にも3歳の牝馬重賞、クイーンCが行われる。巻き返しの期待はロカだ。暮れの阪神JFは出遅れがすべて。スケールの大きな走りは東京コースでこそ生きる。
(日刊ゲンダイ大阪記者)
週刊大衆02月23日号