<ウクライナ>停戦発効…実態は? 一部で散発的発砲の模様 | 国際そのほか速

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<ウクライナ>停戦発効…実態は? 一部で散発的発砲の模様 【モスクワ田中洋之、ワシントン和田浩明】ウクライナ東部で激しい戦闘を続けてきた政府軍と親ロシア派武装勢力との停戦が15日午前0時(日本時間同7時)に発効した。同日午後(日本時間同夜)までに本格的な攻撃や交戦は確認されていないが、散発的な発砲は続いた。停戦が守られるのかは不透明な情勢だ。
 
  ウクライナのポロシェンコ大統領は停戦発効に合わせ、軍や内務省部隊に戦闘中止を命じた。親露派指導者も停戦を表明した。だが、親露派が政府軍兵士を包囲しているドネツク州の要所デバリツェボでは砲撃が伝えられ、緊張が続いた。インタファクス通信によると、ルガンスク州内でも民家が砲弾を受け、住民2人が死亡した。ウクライナ軍当局によると、停戦前日の14日に政府軍兵士9人が死亡、39人が負傷したが、15日になってから犠牲者は出ていないという。
 
  停戦に先立ち、プーチン露大統領は14日夜、メルケル独首相、オランド仏大統領と電話で協議し、停戦の重要性を確認した。ポロシェンコ大統領もオバマ米大統領や独仏首脳と電話で協議した。この中で、オバマ氏はデバリツェボなどで続く戦闘に懸念を表明した。
 
  米国務省は14日、デバリツェボの北東に配備されたロシア軍の大砲や多連装ロケット砲だとする衛星写真3枚を公開した。サキ国務省報道官は声明で、露軍による越境活動の「信頼できる証拠」だと主張した。
 
  今回の停戦合意は独仏露ウクライナの4カ国首脳が12日にまとめ、紛争当事者が署名した。停戦から2日以内に重火器の撤去を開始し、14日以内に完了することになっている。昨年9月の停戦合意は破綻し、先月から戦闘が激化していた。【コペンハーゲン篠田航一】デンマークの首都コペンハーゲン市北部で14日午後、「表現の自由」に関する集会が開かれていたカフェに男が自動小銃を乱射し、参加していた映像作家の男性(55)が死亡、警官3人が負傷した。集会にはイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を2007年に描いたスウェーデン人画家、ラーシュ・ビルクス氏(68)が主要な登壇者として参加していたが、無事だった。当局は同氏が狙われたとみている。15日未明には同市中心部のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が銃撃され、警備のユダヤ人男性(37)が死亡、警官2人が負傷。さらに同日朝、同市北西部の駅で発砲してきた男を警戒中の警官が射殺した。警察は男が両事件を起こしたとみている。
 
  「芸術、神への冒とく、表現の自由」と題した集会には、パリで先月発生した仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件を報告するため、駐デンマーク仏大使も出席していた。ビルクス氏は「自分が標的だった。仏週刊紙襲撃事件に誘発されたのだろう」と述べた。トーニングシュミット首相は15日、「表現の自由に対するテロだ」と断じた。
 
  警察はパリで起きた週刊紙本社とユダヤ教徒向けスーパーの襲撃事件を模倣した可能性もあるとみている。容疑者の男はコペンハーゲン出身で、警察に以前からマークされていた。テロ組織との関連は不明という。警察は襲撃に使われたとみられる自動小銃を押収した。
 
  預言者ムハンマドの風刺画を巡り、「表現の自由」への挑戦が欧州で立て続けに起きた事態を受け、オランド仏大統領はテロを非難、デンマークとの「全面的な連帯」を表明した。
 
  集会会場となったカフェには約30発の銃弾が撃ち込まれた。参加者を無差別に殺そうとした疑いもある。男はカフェを襲撃後、付近の車を奪って逃走し、近くで乗り捨てた。警察が警戒を強める中、15日未明にカフェから約3キロ南のシナゴーグが襲撃された。当時、約80人が式典に出席していた。男はここから北西約4キロ離れた駅で射殺された。
 
  ビルクス氏は07年に預言者ムハンマドに犬の胴体を付けた風刺画を掲載し、イスラム過激派から「死刑宣告」を受けるなどテロの標的になっていた。