
重体1人を含め18人が負傷する惨事に、静かな田園地帯は衝撃に包まれた。
近くに住む男性(69)は散歩中、電車の警笛音で線路に目をやると、急ブレーキのきしみ音とともにトラックに突っ込む電車を目撃した。「若い男性がぐったりした様子で救急車に運び込まれた。無事だといいのだが……」と言葉を飲んだ。
1両目に乗っていた岡山市北区の専門学校生の男性(20)は「緊急停止のアナウンスが流れて10秒ほどして、衝撃で体が浮き上がるように感じた。『大丈夫ですか』と負傷者をさがす運転士の姿が見えた」と振り返った。
通学で事故の電車に乗っていた倉敷市の専門学校生の男性(19)は「急にブレーキがかかり、前のめりになった。車内は騒然となって混乱した。いつも使っている電車で、こんなことが起こるなんて」と話した。
この事故で倉敷―金光間が約10時間半にわたって運休となり、約2万3000人に影響。中国学園大(岡山市北区)に通う広島県福山市の1年の女子学生(18)は「午前中で大学の用事を済ませ、午後からアルバイトに行く予定だったのに」とため息をついた。
県立水島工業高校(倉敷市西阿知町)は、特別入試2日目の開始時間を午前9時15分から30分繰り下げ、間に合わなかった受験生に対応した。
事故現場では午後5時過ぎから、運輸安全委員会事務局の駒形洋介・鉄道事故調査官ら2人が踏切の構造などを調べた。報道陣に対し、駒形調査官は「運転士やトラックの運転手に事故前の状況を確認し、原因究明につなげたい」と述べた。
調査には1年程度かかるといい、結果は同委員会のホームページで公表するという。