
3歳時、イギリスとアイルランドの両ダービーと、キングジョージVI&QESの3大レースを勝ち、総額43億円のシンジケートで種牡馬になっていた名馬シャーガーが、1983年、牧場からさらわれ、犯人グループから7億円の身代金要求があった。シンジケート側はこれを拒否して、そのあと情報は途絶え、競馬界だけでなく、世界的な謎の事件として多くの推理、憶測が飛び交った。1年後にアイルランド警察が、当時、英国内でテロ活動を行っていたアイルランド共和国軍の犯行で、シャーガーは誘拐後間もなく殺害されたと発表した。
まあ、馬産地でもないドバイでサラブレッド誘拐などありえないとは思うが、相手は「何でもあり」のテロ組織で、インターネットを使った脅しだけでも効果があると熟知、駆使しているから、手放しの楽観は禁物だろう。
さて、そのドバイ遠征を控えたハープスターが、秋の凱旋門賞を目指すキズナと初対決する雌雄決戦の京都記念。もちろん、2頭だけのマッチレースではないが、昨年夏の札幌記念がハープスターとゴールドシップの凱旋門賞壮行レースを思い起こさせる。“雌雄どっちだ!”なら「見」のレースかもしれないが、このような対決は、往々にして第3の馬が割り込む。馬券は(6)ラブリーデイから。
東京の共同通信杯は、印がつくところへ何と、ディープインパクト産駒が5頭。いくら何でも、というわけではないが、ここは唯1頭のキングカメハメハ産駒(8)ドゥラメンテの狙い。そういえば、京都記念もディープの人気雌雄にキンカメの殴り込みだ。
■品川達夫(しながわ・たつお) 昭和44(1969)年、夕刊フジ創刊と同時に競馬欄を手掛け、デスク兼記者・予想家として約20年間紙面を汚す。その後、別のジャンルで新聞記者を務めながら競馬は続け、気がつけば「馬じぃ」に。