新規制基準による審査の合格は、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に続いて2例目となる。ただ、残る書類の認可や設備の現地検査、地元同意などの手続きが控えており、関西電力は11月の再稼働を目指している。
審査書は、関電が申請した「安全設計の基本方針(設置変更許可)」が新基準を満たしているか、規制委が審査した結果をまとめたもの。関電は、想定する最大の津波高を引き上げ、取水路の防潮ゲートを8・5メートルに高めるなどの対策をとった。
規制委は昨年12月に発表した「審査書案」に対し、国民から寄せられた意見約3600件を精査、意見の一部を反映させて審査書を作った。
規制委は今後、設備の詳細設計(工事計画)と保守点検体制(保安規定)を記した書類の審査に移る。この手続きの後で、現地で詳細な機器の検査を行う。
この一連の作業は、順調に進めば数か月で終わる見通しだ。しかし、昨年9月に審査書がまとまった川内原発では、まだ追加書類の作成に手間取っており、再稼働は早くても夏以降になりそうだ。規制委は川内原発の審査が終われば高浜原発の審査に集中したい考えだが、現地検査の時期は両原発で重なる可能性がある。
再稼働に必要な地元自治体の同意について、福井県の西川一誠知事は「県と地元・高浜町」に限定するとの意向を示している。一方、避難計画の策定が必要な30キロ・メートル圏内に入る京都と滋賀の両府県も関与を求めており、調整に時間がかかる公算が大きい。
関電は保有する原発11基が停止した影響で経営が悪化しており、昨年12月に2度目の電気料金値上げを政府に申請した際に、高浜原発の再稼働時期を今年11月とした。