1兆円近い恩恵も 原油安、電力各社に干天の慈雨 | 国際そのほか速

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1兆円近い恩恵も 原油安、電力各社に干天の慈雨 

 

  原油安の余波が幅広い産業分野に拡散している。米国では早くも企業の破綻や人員削減が起きている半面、燃料コストの削減などを通じ恩恵を受ける企業も少なくない。業態によって影響が異なる原油安だが、原子力発電所の稼働停止で収支が苦しい電力業界にとっては干天の慈雨となりそうだ。

 

 ■原油安、米国や日本の石油開発会社へ打撃

 

 テキサス州のシェール掘削現場

  「原油安の最初の犠牲者だ」。1月上旬、米テキサス州でシェール開発を手掛けるWBHエナジーが経営破綻した。負債総額は最大で5千万ドル(約60億円)と小さいが、急激な原油安を受け資金繰りが悪化したとみられ、米国ではメディアが大きく取り上げた。

  昨年7月まで1バレル=100ドル台で推移していた原油価格は今年に入り50ドルを割り込んだ。今月14日には英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルがカタールで計画していた65億ドルの大型投資計画を撤回。米資源開発大手のハリバートンは1千人の人員削減を発表するなど、オイルマネーの変調が実体経済にも影響を及ぼし始めた。

  日本企業への影響も鮮明になっている。石油資源開発(JAPEX)は昨年12月、シェールガスに関連するカナダでのプロジェクトへの投資を延期すると発表。原油安で投資回収の不透明さが増したことが一因とみられる。JXホールディングスなど石油各社は在庫の評価損から業績の下方修正を迫られる見通しだ。

  一方、原油安が久々の恵みの雨となるのが電力業界だ。多くの電力会社が原発の稼働停止を補うために火力発電所をフル稼働。原油高と円安のダブルパンチで燃料コストが急増し、赤字決算に陥っている。

  燃料となる液化天然ガス(LNG)は、原油価格に連動する。一般的に原油価格が半値になると、3カ月ほど遅れてLNG価格も半値に近づく。