G20、「イスラム国」資金源遮断 経済封鎖網構築急ぐ | 国際そのほか速

国際そのほか速

国際そのほか速

 【ワシントン=青木伸行】米国をはじめ国際社会は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の壊滅へ向け、包括的な戦略を探求している。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、テロの資金源の遮断を重要な柱のひとつとして共同声明に盛り込んだ。「経済封鎖網」の構築が急務となっている。

 イスラム国が管理する資金は、推定で20億ドル(約2370億円)ともいわれている。主な資金源は、(1)原油密売(2)人質の身代金(3)略奪と盗掘(4)寄進、寄付-などだ。最大の資金源は原油の密売で、油田はシリアとイラクの支配地域に70カ所あるとの見方もある。専門家などの試算によると、1日の原油の生産量は8万バレル、売り上げは800万ドルにのぼったといわれる。

 原油は例えば、イラクのクルド人自治区に移送され、トルコやイランの業者に転売されている。業者は自国に密輸し安い価格で販売している。

 最近では米軍など有志連合軍の油田、製油所に対する空爆で、原油収入は大幅に減少しているが、密売ルートを断つことが必要になっている。

 国連の調査によると、身代金による収入は日本円にして年間40億~51億円にのぼると推定されている。米国は身代金の支払いを拒絶する一方、欧州諸国の一部には水面下で交渉し支払いに動いた例もあるとされ、こうした大きな「温度差」を埋められるかどうかも課題だ。

 イスラム国はまた、イスラム諸国内から援助を受けているほか、住人に寄付を強要したり、少数派の異教徒から「安全保証料」を徴収したりなどしている。侵攻した町では銀行から現金などを略奪し、古代遺物などの取引も管理して闇市場を拡大させている。

 資金源の遮断は容易ではないと、多くの専門家はみている。